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2013年1月31日(木)

B787事故 危ない電池

発火性高いリチウムイオン

10年に火災墜落も

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 米ボーイング787型機(全日空機)が今月16日、高松空港に緊急着陸した事故。発煙の発生源はメーンバッテリーに同型機で初採用されたリチウムイオン電池です。発火しやすい特性を持つ同電池をめぐっては、近年、積載した貨物機の火災墜落事故も発生し、危険性が指摘されていました。緊急着陸事故の原因は日米両政府の運輸安全委員会が調査中ですが、安全を最優先にした徹底調査が必要です。(細川豊史)


 リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、小さくても大容量の電力をえられるなどの利点があります。その一方、電解液に石油と同等の引火性がある危険物を使用し、過充電、過放電や、衝撃によるショートなどで過熱、発火する危険性があります。

 2010年9月3日には、リチウムイオン電池を搭載する電子機器を積んだ貨物航空機が火災で墜落する事故が起きました。

 墜落したのは、香港発ケルン(ドイツ)行きの米物流大手UPS社のB747―400F貨物機。経由地のドバイ空港(アラブ首長国連邦)で荷物を積み替え、離陸後、貨物室から火災が発生しました。操縦室が煙で充満し、計器の確認もできなくなり、墜落。乗員2名が死亡しました。

 火災原因は、貨物の積み替え時に電子機器を含む荷物を落下させたことではないかとの指摘もありますが、調査中です。

 同事故を受け、世界100カ国以上、10万人以上のパイロットが加入する国際定期航空操縦士協会連合会(IFALPA)は11年8月、リチウムイオン電池等の輸送に関する声明を発表。同電池の危険性を指摘し、危険物ラベルの貼付や機長への報告、適切な梱包(こんぽう)などを徹底するよう求めています。

 東京消防庁は11年3月、同電池を原因とする火災予防対策を検討した報告書で、同電池は「エネルギー密度が高く、電解液に危険物を使用している等の理由により、何らかの不具合が発生した場合、火災等の災害の直接的な原因となることが危惧される」と指摘。過充電防止装置の整備などの対策が重要だと提言しています。

 IFALPAに加盟する日本乗員組合連絡会議は緊急着陸事故を受け、今月21日に見解を発表。B787型機の不具合について、個々の事象の検討にとどまらず、「背景要因を残らず精査し、それらが様々なシステムに与える影響を予測し、事前対応的に対策を講じるべき」だとしています。

 パイロットの長澤利一さん(日本航空整理解雇裁判原告)は、「航空機は生き物の体のような複雑なシステム。性急に運航再開せず、あらゆる要素を徹底調査すべきです。アメリカ政府がいいと言えばよしとするのではなく、国土交通省が独自に判断することも大切です」と話しています。


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