2013年1月30日(水)
電機リストラで厚労省
初めて調査結果発表 5社に啓発指導
電機大手の違法な退職強要の実態を調べていた厚生労働省は29日、企業側に聞いた調査結果を公表しました。企業名は明らかにしていませんが、NEC、シャープ、ソニー、パナソニック、朝日生命保険の5社です。厚労省は、明らかな違法はなかったと結論付けたものの、労働組合などから退職強要を指摘されている企業もあると言及しました。
この問題では昨年、日本共産党の志位和夫委員長らが衆院予算委員会などで取り上げ、調査と是正指導を要請。田村憲久厚労相が記者会見で「実態把握してみたい」と表明し、高橋ちづ子衆院議員と田村智子参院議員が22日、NECの現場労働者らの協力を得て情報提供し、社内に新設された「リストラ部屋」では半数が退職に追い込まれ、社内全体の2倍も多いなどと訴えていました。
調査は、厚労省の本省職員が直接、企業に聞き取りを行いました。
密室で執拗(しつよう)に退職を迫る個別面談について、「連日のように長時間の面談を行うとか、多数の勧奨担当者が圧迫的な面談を行うといった、明らかに違法な退職強要を行っていると認められる事案は確認されなかった」と報告。ただ、退職強要とする労働組合などの主張は排除しませんでした。
また、本来の仕事を取り上げて一室に集め、退職に追い込む「リストラ部屋」の状況については、「昨年設置したとする企業もある」「(仕事が)軽易なものとなる場合があるとする企業があった」「(賃金が)低下する企業もあった」などの事実を明らかにしました。
厚労省は5社に対し、労働者の自由な意思決定を妨げる状況での退職勧奨は違法とした判例などをもとに啓発指導しました。今後も機動的に啓発指導に取り組むとしています。