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2013年1月30日(水)

暮らし・平和踏みつぶす 国民との矛盾避けられず

13年度予算案 目線の“高さ”

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 「予算は政治の鏡」といわれます。第2次安倍内閣の予算案はどうか。感じるのは目線の“高さ”です。

 安倍晋三首相は「強い日本」(所信表明演説)を掲げ、軍事費を400億円増額。2012年度補正予算とあわせた「15カ月予算」でみれば2500億円増と過去最高の伸びです。不要不急の大型公共事業や原発輸出推進費など大企業向けの予算も並びます。

 一方、暮らしにかかわる予算はどうか。社会保障費の伸びは圧縮されました。象徴的なのは、国民全体の最低ラインである生活保護費を13年度分だけで671億円削減したことです。3年後には年間約1200億円削る計画です。年金も削減されます。

 雇用対策費は12年度にくらべ9・9%減額。なかでも失業手当を受けられない求職者に生活費と職業訓練を受けさせる求職者支援制度の予算は半減されています。

 自公民3党のすすめる「一体改革」では、生活保護の削減は社会保障全体の引き下げの突破口と位置づけられています。年金、医療、介護の各分野で今後の改悪が打ち出されています。

 首相は「国民の生命・財産は…断固として守りぬく」(所信表明)と大見えをきります。しかし、全国で孤独死・孤立死が相つぎ、自殺者数は14年連続で3万人を超え、昨年も2万7000人を超えています。貯蓄ゼロ世帯が約3割なのに、消費税増税で負担はさらに増えます。庶民の「生命・財産」は守られるどころか脅かされています。

 「デフレ」脱却のために物価を2%上げ「強い経済を取り戻す」といいますが、多くの庶民は物価が上がってほしいとは思っていません。賃金こそ上がってほしいのです。

 安倍内閣は税制「改革」で、孫1人あたり1500万円まで教育費を出しても贈与税がかからない制度を創設します。しかし恩恵を受けるのは、よほど余裕のある一部の層だけです。自公政権の社会保障の連続改悪により、多くの高齢者は先々の医療・介護にどれだけかかるか分からない不安で、倹約して暮らしています。

 孫に1500万円ポンと出せる層しか目に入っていない―と感じざるをえません。

 目線の高さは教育でも同様です。予算案では教育現場の強い要求である少人数学級を見送り、「心のノート」の全員配布や全国学力テストを公立全校で実施する予算を盛り込みました。教育条件を整備するのではなく、上からの「道徳」と競争主義の押し付けです。

 安倍首相は所信表明演説で、消費税にも社会保障にもふれませんでした。国民の暮らしに目が向いていないうえ、暮らしをよくする解決策を持たないので、「国家の確固たる意思」「世界一を目指す」といった目線の高い話になるのです。

 暮らしと平和を踏みつぶして「強い国家」を称揚しても、国民との矛盾は避けられません。 (西沢亨子)

解説

軍拡路線くっきり

 2013年度予算編成を通じて、あらゆる手段で軍事費枠の拡大を推し進める安倍自公政権の姿勢がみえてきました。

 自民党国防部会は7日、軍事費編成にあたって、前年度比1200億円程度の上積みを求める決議を採択。防衛省もこれを踏まえて、民主党政権下で組まれた概算要求をやり直し、前年度比1000億円超を財務省に提出していました。

 最終的に政府が決定した軍事費予算案は、4兆7538億円の前年度比400億円増(0・8%増)となり、防衛省の要求額は大幅に圧縮されました。

 しかし、実態は12年度補正予算(2124億円)、「東日本大震災復興特別会計」(1252億円)という13年度予算とは別枠で、軍事費の大幅な拡大が進められようとしています。(グラフ)

 “15カ月予算”として、13年度予算と「一体的なもの」との政府方針のもとで編成された12年度補正予算では、「緊急経済対策」との名目で、「ミサイル防衛」の一環であるPAC3ミサイルや各種ヘリコプターなどの装備品を計上。そもそも補正予算に装備品購入費が計上されること自体が異例ですが、今回は1回の補正としては過去最大規模です。

 結果、安倍政権下で組まれた“15カ月予算”の総額は4兆9662億円、「復興特別会計」分を含めると5兆円を突破します。「防衛関係費(軍事費)としては過去最高レベル」(財務省担当者)です。

 「復興特別会計」でも、計上されているのは自衛隊基地の整備や戦闘機の修復など、被災者に直接関係のない事業が入っており、内容の精査が不可欠です。

 また、13年度予算では自衛官287人(陸自94人、海自96人、空自97人)の増員も求めています。 (池田晋)

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