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2013年1月30日(水)

教員の年度途中退職

退職手当削減の強行 個人責任にすり替え

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 地方公務員の退職手当が大幅削減される条例の改定により、年度替わりを待たずに早期退職を希望する教職員が相次いでいます。制度自体がはらんでいた問題が、教職員個人の自覚の問題にすりかえられようとしていることに、現場から抗議の声があがっています。


“年度末まで勤めたかった”

 退職手当を大幅に減額する条例が改定されたのは16都府県。このうち、2月1日に施行される埼玉県では、28日現在で86人の教員が早期退職を希望しています。

 昨年11月、埼玉県地方公務員労働組合共闘会議がおこなった賃金確定の団体交渉の中で、突然、退職手当削減の時期は2月1日にするとの案が当局から提示されました。しかも12月議会への条例案提案を急ぎ、11月いっぱいで交渉を打ち切ってしまいました。

 こうした当局の姿勢に、同共闘会議の構成団体である埼玉県教職員組合(埼教組)の北村純一書記長は怒りを隠しません。

協議尽くさず

 「『ぎりぎりの労働実態でこの仕打ちでは、働き続ける気持ちが続かない』との声も出されました。それなのに当局は、労使での協議を尽くさずに強行しました」

 実施にあたり当局は「混乱させないための最大限の努力をする」と回答しましたが、早期退職を希望する教職員を臨時に採用するなどの手だてをとっていません。

 一方、1月1日にすでに施行した佐賀県では、教育現場の混乱が見こまれるとして、早期退職した教職員を臨時的任用職員として採用するしくみをつくりました。これにより年末に退職した36人の教職員のうち、31人が臨時的任用職員として働いています。

対処を丸投げ

 そんな矢先、中途退職が教職員個人の資質の問題にすりかえられるような報道が続きます。この流れに乗じるかのように文科省が調査を実施。25日付の各都道府県・指定都市教育委員会あての通知では「定年退職予定の教職員が自己都合退職をしているという事案が、複数の自治体において見受けられ」たとして、あたかも教職員個人の問題として責任をなすりつけた上で、その対処を教育委員会に丸投げしました。

 北村書記長は言います。

 「みんな年度末まで勤め上げて子どもと向き合っていたかった。でも、さまざまな事情で泣く泣く早期退職をせざるを得なかったんです。手当の削減で事実上の早期退職を迫りながら、今度は『なんで早く辞めるんだ』と責めたてる。こんな仕打ちがあっていいものでしょうか。行政は、教育現場に混乱が起きないよう手だてをつくすべきです」

背景に国の減額法

民自公2時間の審議で可決

 退職手当削減による教員や地方公務員の早期退職が起こっている背景には、国が国家公務員の退職手当を平均402万6000円削減する法案を強行したことにあります。

 そもそも退職手当は、民間企業の多くで「賃金の後払い」とされ、退職後の生活を支える重要な役割を担っています。

 しかし政府は、国家公務員の退職手当について「長期勤続に対する褒章(ほうしょう)的な性格が強い」と主張。賃金・労働条件として扱うことなく、人事院勧告も受けないまま、昨年8月、一方的に「国家公務員の退職手当の支給水準引き下げ等について」とする閣議決定をしました。

 その後、退職手当改悪法案は国会審議されずにいたものが、衆院が解散された昨年11月16日、民自公3党が突然、退職手当改悪法案を可決します。わずか2時間あまりの審議で、衆参両院の総務委員会、本会議を1日で通過させるという、国政史上に残る暴挙で強行しました。

 同法成立を受けて総務省は昨年11月26日、各地方自治体に「(2013年1月1日から施行される)国家公務員の退職手当制度の改正に準じて必要な措置を講ずるよう要請いたします」との通知を出したのです。

 これにもとづいて、各自治体が昨年の12月議会で条例「改定」を強行しました。


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