2013年1月30日(水)
生活保護費・地方交付税削減
13年度予算案閣議決定 総額92兆6115億円
「デフレ不況」打開に逆行
安倍晋三内閣は29日、2013年度政府予算案を閣議決定しました。一般会計の総額は92兆6115億円(12年度当初予算比2・52%増)と当初予算としてはこれまでで最大の規模となりました。安倍内閣は13・5兆円規模となった12年度補正予算と合わせて「15カ月予算」と位置づけています。軍事費を400億円増額する一方で、生活保護費や地方交付税は削減させます。日本共産党の市田忠義書記局長は同日、「財界とアメリカいいなりの政治を完全に復活させる予算案」で、「デフレ不況」解決に逆行するとの談話を発表しました。
軍事費は400億円増
税収は43兆960億円と12年度比7500億円増を見込みます。この税収額は実質の経済成長率を2・5%と前提したものです。この10年間で実質2・5%成長だったのはリーマン・ショック後の経済危機からの反動増となった10年だけです。
12年度まで盛り込んでいた経済危機に対応するための予備費9100億円の計上を見送るなど、歳出規模を抑制。国の借金である国債による収入42兆8510億円を税収が4年ぶりに上回ることになりました。ただ補正予算では国債を新規に5・2兆円発行しました。
公共事業関係費は12年度よりも7119億円増額し、5兆2853億円としました。「15カ月予算」では7兆7279億円となります。一方で社会保障関係費は伸びを抑制。生活保護費は、月々の日常生活費に相当する生活扶助の基準を見直し、3年間で670億円減額します。さらに年末に支給する期末一時金も70億円削減します。
「最低生活」を示す生活保護基準は、最低賃金、そして年金、介護、保育・福祉サービス等の給付、税金、保険料、利用料等の負担に連動しています。その引き下げは、子どもから現役労働者、高齢者まで国民生活に甚大な影響を与えます。貧困者がさらに貧困になる「貧困の連鎖」の危険性があります。
地方交付税を12年度比3921億円削減しました。地方公務員の賃金を7月から7・8%減額することを前提としています。地方歳出ベースで8500億円の削減となります。暮らしと地方経済への影響が懸念されます。
原発輸出を推進するために「原子力海外建設人材育成委託費」の名目で新規に11億7348万円を計上しました。
軍事費は4兆7538億円を計上。12年度比400億円の増額です。「15カ月予算」では4兆9600億円を超え、5兆円に迫ります。
復興予算は特別会計から4兆3840億円を計上し、12年度比6086億円増加しました。15年度までの復興財源の枠組みを見直し、19兆円から25兆円に増額しました。増額した6兆円の財源は日本郵政株式の売却収入と毎年の決算剰余金などをあてます。
ただし、12年度当初予算90兆3339億円は基礎年金国庫負担分が含まれていない額です。12年度補正予算に計上された国庫負担分2兆5842億円を加えれば12年度予算は92兆9181億円となり、13年度予算案は7年ぶりの減額となります。
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