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2013年1月25日(金)

主張

最低賃金と生活保護

人間らしく暮らせる土台

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 厚生労働省がめざす生活保護費の引き下げが実施されたら、最低賃金はどうなるのでしょうか。最低賃金は、2007年に最低賃金法が改正され、「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことができるよう、生活保護との「整合性に配慮する」とされました。このように最低賃金と生活保護は、法的に強い連動性をもっています。

 全国平均時給749円という、まともな生活が不可能ないまの最低賃金が、下げられる生活保護との整合性を口実に不当に抑えられることになれば、人間らしい生活を願う働くものの希望を断つことになります。

全国どこも生活保護以下

 生活保護との整合性について厚労省は通達で、最低賃金を「生活保護を下回らない水準」にすることだとしています。これをうけて最低賃金の引き上げを求める労働者、労働組合は、最低賃金が生活保護を下回っている「逆転現象」の解消、全国どこでも時給1000円以上の要求をかかげて運動にとりくんできました。07年から12年までの6年間で62円上がったのは重要な成果です。

 しかし「逆転現象」の解消は、いまだ遠いのが現状です。厚労省は、昨年の賃金額の改定で6都道府県に減ったといいましたが、これは最低賃金を実態より高く、生活保護費は少なくみせる意図的操作で計算した結果です。

 全労連などは「五つのごまかし」があると指摘しています。まず、労働時間の算定です。生活保護が月額で設定されているため、時間額の最低賃金を月の労働時間に換算して比較しますが、いま労働者の所定内労働時間は月155時間です。ところがこれを残業や休日出勤を含めた最大値の173・8時間に設定して計算しています。こんな計算をすれば、たとえば時給850円の東京都の場合月1万6000円もアップすることになります。最低賃金を実態より高額にみせる数字のトリックです。

 ほかに、税金、社会保険料などの負担率を最低賃金がもっとも低い沖縄県のケースで当てはめて低くしていること、生活保護に設定されている働くために必要な「勤労控除」が配慮されていないこと、生活保護の「級地」を加重平均して低い保護費で比較していること、住宅費を一般の賃貸より低い生活保護受給者の実績値においていること、があげられています。

 このでたらめ比較を改めて計算しなおすと、現在の最低賃金は、全国すべて生活保護水準以下です。神奈川労連が、国の計算式のごまかしをただし、時給1000円以上にすることを求めて裁判をたたかっていますが、同労連によると、まともに計算すれば全国どこでも時給1100円以上になるとしています。

どちらも引き上げて

 不況下で、非正規雇用の労働者が最低賃金にはりついた低賃金で生活をしのぎ、雇い止めにあって生活保護に救いを求めている現実に胸が痛みます。生活保護を引き下げることなくさらに改善し、最低賃金を引き上げることは人間らしく働いて安心してくらせる土台を安定させます。それは景気の回復にとっても重要です。

 政府は、中小企業への助成策をしっかり講じて、生活保護基準を真に上回る最低賃金への引き上げを図るべきです。


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