2013年1月23日(水)
安愚楽牧場破たん問題
海江田民主代表を提訴へ
被害者・弁護団ら 「出資を誘導」
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和牛オーナー制度で多額の出資金を集めた安愚楽(あぐら)牧場(本社・栃木県)が経営破綻した問題で、損害を受けた出資者の弁護団が22日、都内で会見し、同牧場の広告塔になって出資をすすめた民主党の海江田万里代表に損害賠償を求め、近く東京地裁に提訴する方針を示しました。
海江田代表は経済評論家だった80年代後半から90年代前半にかけて、同牧場を「高利回りの利殖商品」「むろん元本は保証付き」(『海江田万里のカネのなる木』1989年8月、双葉社)などと複数の雑誌や書籍で紹介し、出資を推奨していました。
東京・霞が関の司法記者クラブで会見した全国安愚楽牧場被害対策弁護団の紀藤正樹団長は、同牧場の宣伝に使われた、海江田代表と牧場経営者が並んだ写真を載せた冊子を手に、出資を誘導した責任を指摘し、「被害者のあいだには、海江田氏に対する強い憤りがある」と語りました。
弁護団によると、海江田代表に対しては、これまでに、記事を信用して出資を決めたとする出資者94人が、損害の1割にあたる計1億5828万8100円の賠償を求めて東京簡裁に民事調停を申し立てています。過去3回の調停では、海江田代表側が賠償責任を否定して和解に至っていません。
弁護団は、次回2月5日の調停で不調に終われば、申立人のうち一部の出資者が2月18日をめどに海江田代表を提訴するとしています。
同日午後の第2回破産債権者集会では、破産管財人によって被害者への配当金が債権の5%程度と、ごくわずかになる見込みが示されました。また、同牧場の本業である畜産部門が約20年間にわたって赤字で、オーナーへの配当を新規の出資金でまかなう自転車操業状態だったことも明らかになりました。
安愚楽牧場の経営破たん 2011年8月に配当、預託金返還などが困難となり事実上破綻。現在、破産手続が進行中です。出資者である被害者は全国で約7万3000人、出資金額は約4300億円。戦後最大の投資被害事件です。