2013年1月19日(土)
志賀原発北に「活断層」
科学者会議など調査報告
富来川南岸断層
北陸電力志賀(しか)原子力発電所(石川県志賀町)の北約9キロ付近に存在が指摘されている「富来(とぎ)川南岸断層」について、日本科学者会議石川支部、原発問題住民運動石川県連絡センターなど4団体は18日、同断層が活断層であることが決定的になったとする調査結果を発表しました。志賀原発に関しては、敷地直下を通るS―1断層の存在も指摘されており、地震が原発に与える影響が危ぐされています。
4団体は、昨年春以降数回にわたり新潟大学名誉教授(地質学)の立石雅昭氏とともに調査を実施。周辺地域の地層や斜面から土壌サンプルを採取し、年代特定や構成物の分析を進めてきました。
調査では、12万〜13万年前に堆積した「中位段丘」と呼ばれる地層を土壌サンプルの分析や斜面の観察で特定。周辺地域で比較したところ、富来川北岸で標高約20メートルに見られた中位段丘が南岸では標高約40メートル地点にあり、地形に急激な変化が生じたことがわかりました。
立石氏は「地形の隆起の状況から判断すれば活発な断層活動があったと見るべきだ」と指摘し、富来川南岸断層の存在と活動性の高さが決定的になったと結論付けました。
富来川南岸断層をめぐっては、渡辺満久東洋大教授、鈴木康弘名古屋大教授が昨年5月に原発の耐震安全性を検討する際に考慮が必要な13万〜12万年前までに動いた活断層の可能性が高いと発表しており、今回の4団体の調査はこれを裏付けるものとなりました。
立石氏は「私たちの今回の調査をはじめ、渡辺・鈴木両教授の研究、これまでの能登半島の断層に関する研究を見ても、この地域で地震が繰り返し発生していることは確定的だ」と強調。「北陸電力は断層の活動性を認めたうえで厳正な調査を進め、どのような影響があるのか公表すべきだ」と話しています。
4団体と立石氏は、調査結果の公表と同時に、北陸電力と石川県には17日、断層の徹底調査と志賀原発廃炉の決断を下すよう要請し、国の原子力規制委員会には調査報告書を送付したことを明らかにしました。