2013年1月16日(水)
電力会社の資材調達
「身内」会社に発注 突出
電気料金値上げに疑問
家庭向け電気料金の値上げを申請している関西電力と九州電力がともに、資材調達の4割以上を、関連会社や子会社に発注していたことが、15日までに分かりました。調達費用は電気料金の原価に算入されていることから、値上げの根拠となる原価の適正性に疑問がもたれます。
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関電 46%
九電 42%
両電力の値上げ申請について審査する経済産業省の有識者会議「電気料金審査専門委員会」に両電力が提出している資料でわかったもの。
これによると、関電は、2011年度の資材調達費約6000億円のうち、約2800億円(46%)が関係会社への発注です。うち競争発注分は約200億円にすぎません。関電は競争発注の拡大等で、関係会社への発注額を7%(約196億円)減らせるとして、今回の申請料金原価にも7%削減を盛り込んだとしています。
九電も約4500億円(09年〜11年度の平均)のうち約1898億円(42%)を子会社、関連会社で調達していました。今後、子会社・関連会社との取引も含め、7%のコスト低減を追求するとしています。
一方、関電の関係会社との取引高上位20社のうち、きんでん、かんでんエンジニアリングなど19社に役員や社員が計657人出向(11年末)していました。上位20社のうち、日本原子力発電、日本原燃など14社はじめ、45団体537人の関電負担分を原価に算入しています。
九電も上位20社のうち、九電工、西日本プラント工業など19社に役員や社員が計1048人出向(11年12月1日)しています。上位20社のうち、九電産業、九電ビジネス・ソリューションズなど16社はじめ、原子力発電環境整備機構などの関係団体を含め、33の出向先計403人の人件費を原価算入しています。
両電力とも、これらの関係会社などへの出向者の人件費負担を原価に算入していることについて、「電気の安定的な供給に資する」などとしていますが、10日開かれた電気料金審査専門委員会では、「身内企業」への大量発注などについて納得できる説明が必要だ、という声があがりました。