2013年1月13日(日)
米軍機低空飛行訓練ルート直下
多数のドクターヘリ離着陸場
“傍若無人” 事故懸念する声
高知
空から急行し、住民の暮らしと命を守るドクターヘリと消防防災ヘリ。中山間地が多い高知県では一刻を争う救急医療や消防のためにその役割が極めて重要になっています。
ところが、ドクターヘリなどの運航を円滑に行うために必要な離着陸場のうち17カ所が四国を横断する米軍機の低空飛行訓練ルート(オレンジルート)直下や付近に存在(地図)しており、“ドクターヘリと傍若無人の低空飛行訓練を繰り返す米軍機が衝突する可能性もある”との懸念の声が高知県やオレンジルート直下にある同県本山町などの関係自治体からあがっています。
年間375回出動
高知県は2011年3月から医師や看護師が同乗して患者を搬送するドクターヘリを導入しています。11年度の出動件数は375回。ほぼ1日に1回、出動していることになります。四国では高知県に加え、徳島県が昨年10月からドクターヘリの本格運航を開始しました。
一方、高知県のまとめによると、昨年1年間に県内で目撃され報告された米軍機の低空飛行訓練回数は31回、40機に達しました。今年に入ってからも、1月8、10日に本山町や徳島県牟岐町(10日のみ)で訓練が目撃されています。
11年11月29日には県の防災ヘリが参加した嶺北中央病院(本山町)の避難訓練中に米軍機による低空飛行訓練が実施されるという事態も起こっています。
訓練の中止を
本山町の担当職員は、「ドクターヘリと米軍機による事故が懸念される状況は変わっていない。引き続き県を通して日米両政府に低空飛行訓練の中止を要請していきたい」と語ります。
加えて、米軍は昨年末、沖縄に配備されている米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの「本格運用」を宣言。オスプレイによる本土での訓練開始が狙われており、衝突事故の危険がいっそう強まっています。このため高知県では昨年、県内自治体からの低空飛行訓練の情報提供体制を強化しました。
県の担当職員は、「万が一のことがあっては困る。今後はオスプレイによる訓練の情報を把握したい。目撃情報から訓練が日米両政府による合意が守られているかを検証し、違反があれば国に厳重に抗議していきたい」と話します。
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