2013年1月13日(日)
空軍用事故多発機
嘉手納にオスプレイ計画
本紙が米資料入手 空軍長官も言明
米空軍が特殊作戦用の垂直離着陸機CV22オスプレイを嘉手納基地(沖縄県嘉手納町、沖縄市、北谷町)へ配備する計画を検討していることが、本紙が入手した資料から判明しました。米空軍省のドンリー長官も11日の国防総省での記者会見で「沖縄か日本への配備計画はあるのか」と聞かれ、「ある」と言明しました。
米高官が公式に配備計画の存在を認めたのは初めて。沖縄県民の怒りがさらに高まるのは必至です。
資料は米空軍特殊作戦司令部(AFSOC)が作成。作成時期は明記していませんが、アフガニスタンへの実戦配備に踏み切った07年前後と見られます。CV22オスプレイの配備先と配備時期を地図で示しており、2010米会計年度に嘉手納基地の第353特殊作戦群(353SOG)に8機を配備する計画が記されています。
加えて米本土中部に6機(07年度)、南部に24機(09年度)、英国に7機(12年度)で、嘉手納と合わせ合計45機です。米空軍は現在、50機程度の導入を計画しており、米本土と英国への配備はすでに完了または決定しています。
米軍は昨年10月、海兵隊のMV22オスプレイ12機を普天間基地(宜野湾市)に配備。今夏にはさらに12機を追加する計画です。
沖縄県ではオスプレイ配備撤回を求める県民大会が10万人規模で開かれ、低空飛行訓練への懸念が全国で強まっています。さらにCV22が加われば、沖縄に30機を超えるオスプレイが存在する異常事態となります。
在日米軍司令部は9日、本紙の質問に対して「日本とアジア太平洋のどこにもCV22を配備するとの決定は下していない」としつつ、「日米両政府は考えられる兵力構成の変更について、継続的な協議を行っている」とのあいまいな回答を行いました。
沖縄や全国で広がるオスプレイ配備反対の声に米軍当局も押されて嘉手納基地への配備の遅れを余儀なくされつつも、水面下で進めようとの狙いが見えます。
解説
さらなる基地負担強化 沖縄に怒りの声
米政府が嘉手納基地へのオスプレイ配備を検討しているとの報道は繰り返し出ていましたが、ついに米当局者が配備計画の存在を認め、米軍資料でも裏付けられました。
同基地を抱える嘉手納町などでは計画撤回の怒りの声が高まっており、住民大会の開催も検討されています。
嘉手納基地へのオスプレイ配備は、普天間基地への配備とは異なる深刻さがあります。普天間の場合は既存のCH46ヘリとの交代ですが、嘉手納では、交代でなくなるものもない単純な基地負担の強化となります。米空軍は米本土ではMH53特殊作戦ヘリとの交代を進めていますが、嘉手納に特殊作戦ヘリは存在していません。
同基地は4000メートル級の滑走路を2本持ち、常駐機に加え本州や米本土、韓国などからの「外来機」が日常的に飛来し、国内でも最悪の爆音被害をもたらしています。これにオスプレイが加わった場合、爆音の拡大は計り知れません。
加えて、CV22は重大事故が多発しているMV22と比較しても、はるかに高い事故率を記録しています。防衛省の資料によれば、被害額200万ドル以上の「クラスA」の事故率は10万時間当たり13・47(2012年6月15日時点)で、米軍機の中では最悪です。被害額が50万〜200万ドル未満の「クラスB」の事故率にいたっては31・4にも達しています。
最近も、2010年4月にアフガニスタン南部で作戦中に墜落して20人が死傷、昨年6月に米フロリダ州で訓練中に墜落して5人が負傷しています。
特殊部隊の投入や回収を任務とするCV22は、苛酷な戦闘を想定した激しい訓練を行います。これが事故率の上昇につながっていると考えられます。嘉手納に配備された場合、日本全国で危険な訓練を繰り返すことが懸念されます。(竹下岳)