2013年1月12日(土)
音楽まで奪わせぬ
大船渡から歌で発信する2人組 LAWBLOW
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岩手県大船渡市を拠点に音楽活動する2人組「LAWBLOW」(ロウブロウ)。東日本大震災直後にレコーディングしたアルバム「復興者」には「ここに暮らす人、支援に来てくれる人、どちらも共に立ち上がる『復興者』だ」という思いが込められています。結成から9年目。年明け早々、メンバーの菅原盾さん、里見和哉さんは地元でライブを行いました。
「復興者」に収録された「家に帰ろう」は、NHKテレビ「いわてみんなのうた」で放映され共感を呼びました。
「僕が生まれ育った町をのみ込んだヤツは くしくもボクの大好きな大好きな海だった」と歌います。里見さんはホタテ養殖、菅原さんは水泳のコーチをしています。
自宅が同市の両端に離れている2人は東日本震災直後、連絡がとれなくなりました。話すことができたのは3月下旬。
菅原さんは「あえて連絡をとらないようにした。音楽どころじゃない環境。音楽をやめようと言われるのが怖かった」と言います。
しかし、2人で話すうち、だんだん腹が立ってきました。「津波で流されて、すべてを奪われた。音楽まで失うのはくやしい」
「頑張って」という言葉はありがたいが「絆とか応援の歌はしっくりこない。この状況を歌わせてほしい」と、見舞いにきた事務所のスタッフに申し出ました。
その後、できたのが「家に帰ろう」です。フレーズが自然にわいてきました。多くの人と合唱するイメージです。4月にレコーディングしました。
ライブ会場で「やっと娘が帰ってきました」と声をかけられました。「察するに遺体となって家に帰ってきたんだと思います。それぞれにとらえていただいている。自分たちが思っているよりこの歌が愛されていることに気づきました」と菅原さん。
震災後、菅原さんはコーチを1年間休業。里見さんは海のがれき撤去作業から始め、2012年秋に漁を再開することができました。里見さんは「被災者っていう打ちひしがれた印象をプラスのイメージに変えたかった。自分たちも復興者だと胸を張って言いたい」といいます。
仙台市で行われた、さだまさしさんの年越しライブでは、ゲストとして歌うことができました。
「過去を奪われたとしても未来は自分で作れるはず。地元のことを伝えつづけたいし、ぜひ報道でも東北のことを知らせてほしい」と菅原さん、里見さんは話します。(浜島のぞみ)
詳細はウエブサイトで。
フェイスブックページ http://www.facebook.com/#!/LAWBLOW
公式ホームページ http://tosp.co.jp/i.asp?I=lawblowweb