2012年12月31日(月)
中日本高速
民営化後 清掃点検中止
保全費抑制 「詳細点検」5年に1度
9人が死亡する事故の起きた中央自動車道の笹子トンネルで、同トンネルを管理する中日本高速道路が高速道路の照明を清掃し点検する業務を民営化後の保全費用抑制の一環で中止したことが30日、関係者の証言などでわかりました。関係者は「短い周期での点検で未然に防いできたトラブルが、5年に1度の『詳細点検』だけになって、異変に目が届きにくくなっている」と指摘しています。
(矢野昌弘)
関係者証言
|
高速道路の施設管理に詳しい関係者の証言によると、中日本がやめたのは「灯具清掃点検作業」とよばれるもの。
この作業には、電気工事の資格を持つ業者が従事。照明の取り付け状態や変形がないか、金具のゆるみがないかなどを点検し、照明の清掃も行っていました。
ランプ切れだけ
民営化前の清掃点検は、道路のポールタイプの照明については、路線ごとに1年または2年ごとの点検周期でした。
トンネル内の照明では、路線や交通量によって年1〜4回の清掃点検を行っていました。
ところが道路公団民営化(2005年10月)後に中日本は、この清掃点検をやめているといいます。
トンネル照明の場合では、年1回のトンネル内の明るさ測定で、汚れのため照度不足になった照明については清掃を実施。
トンネルと道路のいずれの照明もランプが切れた場合だけ、ランプ交換にあわせて清掃を行うことになったといいます。
目視点検が中心
民営化後、点検をするのは、基本的に5年ごとの「詳細点検」のみ。中日本が行っている「詳細点検」は、内部の異常を検知する打音検査などを行う場合もありますが、目視の検査が中心です。
関係者は「道路照明にいたっては、最長で5年も点検しない箇所がある。照明のランプ切れは民営化でかかげた『お客様満足度向上』に反するから随時交換するが、照明が汚れていなければ基本的に清掃しないし、点検は5年に1度でいいという考えだ」と憤ります。
中日本は本紙の問い合わせに「点検は効率化、機械化を進めながら適切に行っている。過去に行った検査については書類の保管期限を過ぎており、詳細がわからない」とのべ、同社が灯具清掃点検をやめたかどうかもわからないとしました。
関係者は「高速道路のほとんどの施設構造物は、野外にあり、雨風を受ける悪条件下にある。5年ごとの点検は、あまりにも点検周期が長すぎる」と話しています。