2012年12月30日(日)
買収逮捕 「維新」が大半
4陣営6人 連座制適用の可能性も
さきの総選挙にからみ、「詐欺投票」「投票干渉」など、公職選挙法違反容疑で29日までに逮捕されたのは警察庁によると14人で、うち、「買収」で逮捕された8人中6人が「日本維新の会」陣営だったことが、分かりました。
橋下氏 「管理は至難の業」
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「維新」で逮捕者を出したのは、橋下徹代表代行の地元、大阪の2候補を含む4候補の陣営です。(表参照)
大阪9区で当選した足立康史氏は、元経済産業省大臣官房参事官で、「みんなの党」支部長からの転身。40〜50代の女性運動員3人に足立氏への投票を呼びかける電話作戦をする見返りとして、時給約800円で換算した報酬を支払う約束をしたとして、ビル清掃会社の社長ら3人が買収約束容疑で逮捕されました。
同7区で立候補し、比例で復活当選した上西小百合氏の陣営では、上西氏の会社の元同僚が、20〜30代の運動員3人に、選挙運動をした報酬として約20万円ずつを渡した容疑で逮捕されました。元同僚が「選対幹部」と認定されれば、連座制が適用される可能性があります。
みんなの党副幹事長から「維新」にくら替えし、「維新」国会議員団の政調会長を務めて、愛媛4区から立候補し、比例で復活当選した桜内文城氏の運動員は、男性2人にたいし、選挙運動の報酬として現金数万円ずつを渡した買収の疑いが持たれています。
京都1区から立候補、落選した田坂幾太氏の運動員は、電話で投票を呼びかけるために雇ったアルバイト女性5人に、時給1000円を払う約束をしたとして逮捕されました。
4陣営から6人もの逮捕者を出したにもかかわらず、橋下氏は「候補者が運動員を全員管理するのは至難の業」などと弁明しています。
「維新」の松井一郎幹事長(大阪府知事)も、最初の逮捕者が出たときは「(候補者)本人が知ろうと知るまいと候補者の責任であり除名だ」と厳しく処罰する姿勢をみせていたのに、逮捕者が続出すると「(候補者本人が)違反を知っていたなら即除名だ」とトーンダウンしてしまいました。
なぜ「維新」から選挙違反者が相次ぐのか―。大阪府警を取材するマスコミ関係者は、こう指摘します。「府警が狙い撃ちしているわけではない。『維新』の選挙のやり方が、あまりにずさんで、違法行為が目立つから摘発につながっている」
この事態は、同党の体質や水準そのものとともに、橋下氏ら幹部の指導責任が厳しく問われています。
連座制 公職選挙法で、候補者と一定の関係のある者が同法違反の罪で有罪判決を受けた場合、候補者自身が直接関わっていなくても、候補者本人に当選無効や5年間の立候補制限を科す制度。候補者と関係のある者として陣営の総括責任者、出納責任者、地域主催者、候補者の秘書らが対象。さらに大幹部でなくても指導的な立場にある者を広範に指す組織的選挙運動管理者も対象となります。