2012年12月30日(日)
主張
「即時原発ゼロ」
安倍政権は民意踏みにじるな
「安倍政権は原発を再稼働するな」「即時原発ゼロの実現を」―年末も押し迫った28日夜、東京・永田町の首相官邸は、真冬の冷え込みと降り出した雨さえはねかえす、熱い思いに包まれました。毎週金曜日夜の首相官邸前抗議を続けてきた、「首都圏反原発連合」の行動です。安倍晋三政権が発足して初めての抗議行動です。
安倍政権の危険浮き彫り
自民・公明連立の安倍政権が発足してわずかの間に、原発問題でのこの政権の危険性が浮き彫りになっています。
自民党はもともと、「脱原発は非現実的」と「原発ゼロ」を求める国民世論に背を向けてきました。歴代自民党政権が、安全抜きで全国に原発を建設してきた責任も、東京電力福島原発事故が引き起こしている深刻な事態にも目を向けない、言語道断な態度です。
安倍政権発足にあたって自民・公明が取り交わした連立合意も、「可能な限り原発依存度を減らす」というだけで「原発ゼロ」には背を向け、それどころか原子力規制委員会が認めた原発については再稼働を認める姿勢を鮮明にしています。新政権の顔ぶれも、自民党内でももっとも原発に固執してきた甘利明氏を新政権の目玉閣僚の一人とされる経済再生担当相に起用するなど、原発推進の姿勢を露骨にしています。
新閣僚からは早速、原発を推進する発言が飛び出しているのも重大です。エネルギー政策を担当する茂木敏充経済産業相は、「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」とした前政権の政策について「見直す」と明言しました。原発の再稼働はもちろん新増設についても、「政治判断していきたい」と、認めていく方向です。
こうした安倍政権の態度が、原発事故に真剣に向き合い、原発からの撤退を求める圧倒的な国民世論に逆行し、重大事故の危険さえ高めることは明らかです。
前政権が「2030年代」にはと、期限も明示しないあいまいな形ながら「原発稼働ゼロ」を口にしたのは、政府の調査でも、圧倒的な国民が「原発ゼロ」を求めたからです。「2030年代」などというあいまいな目標は、「即時原発ゼロ」に進めてこそ国民の願いにこたえるもので、それとは逆に「見直す」などと後退させるのは断じて許されません。
東日本大震災後の原発敷地内の活断層の調査ひとつ見ても、原発を再稼働したり新増設したりする条件がないのは明らかです。原子力規制委員会の専門家の調査では、原電の敦賀原発(福井県)に続き東北電力東通原発(青森県)でも活断層の存在が明らかになりました。関西電力大飯原発(福井県)での活断層の疑いも否定できません。運転中の大飯原発は直ちに停止し、停止している原発は再稼働させず停止したまま廃炉に進めるしかないのは明らかです。
新しい年もたたかいを
「首都圏反原発連合」は、安倍政権の活動が本格化する年明けも官邸前抗議を続ける予定です。
原発事故はいったん起きれば取り返しがつきません。文字通りいまに生きる国民の命と暮らしとともに、住み慣れた日本に未来も生き続けられるかどうかがかかっています。「即時原発ゼロ」をかかげた新しい年のたたかいを、いっそう広げようではありませんか。