2012年12月30日(日)
ベネズエラ政府
住宅20万戸提供
国内産業・雇用もプラス
年間目標を達成
ベネズエラ政府は年末にあたって、昨年5月から始めた「大住宅計画」に基づいて今年新たに提供された住宅が20万戸を超え、年間目標を達成したと発表しました。政権幹部は、同計画が国内産業の振興と雇用拡大につながっているとして、さらに推進する決意を示しています。(菅原啓 写真も)
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「大住宅計画」は、劣悪な状態の家屋に住む中低所得層を支援するために始まりました。政府主導で公共・民間住宅の新設、既存の住宅の改修を進め、住宅ローン制度を整備。今年末までに35万戸、今年1年間で20万戸建設する目標でした。
計画の責任者を務めるラミレス石油・鉱業相は27日、カラカス市内で開かれた新設住宅の引き渡し式典で、今年1年間に20万80戸を供給し目標を超えたと報告。「これだけの数の住宅建設を1年間でやり遂げたのは初めてだ」と述べました。また昨年の分と合わせると、供給総数が34万6798戸に達したと報告しました。
同席したモリナ住宅相によると、「大住宅計画」関連の建設工事で、今年だけで38万5000人の直接雇用が生まれ、建設資材の生産や運送などに伴う間接雇用は57万8000人に上りました。
今月16日に実施された州知事・議会選挙でチャベス政権与党は全国23州のうち20州で勝利しました。ラミレス氏は、「有利な条件」が生まれているとし、来年はこれまでの実績を上回る38万戸の供給を目標とすると発表。建設資材を生産する国営企業の生産力を高めることで、来年は資材輸入をゼロにし、雇用創出をさらに進める方針を示しました。
チャベス政権の改革路線に反対する野党系の主要紙ナシオナル28日付は、目標達成を優先させる政府の強引なやり方のために、引き渡された住宅の強度に問題が生まれていると報道。自然条件の違う外国から輸入された資材の使用が、欠陥住宅の原因となっていると指摘しました。
公的事業の推進過程で生じる汚職や非効率性の問題は、この間の選挙でも議論され、政府・与党幹部は改善を約束してきました。住宅建設事業の中でも、こうした姿勢が貫かれるかに注目が集まっています。