2012年12月30日(日)
働くルールの確立や賃上げで
736万人の雇用生まれる
労働総研が春闘提言
労働運動総合研究所(労働総研)は29日までに、2013年春闘提言「賃上げと雇用の改善で『デフレ』不況の打開を―外需依存型から内需充実型に転換し経済基盤を再構築」を発表しました。賃上げと働くルールの確立でこそ「デフレ不況」から脱却できる、と強調しています。
提言は、▽サービス残業の根絶▽有給休暇の完全取得▽週休2日制の完全実施―など働くルールの確立で新たに420・6万人の雇用が創出されると試算。これとあわせて、賃金水準を1997年のピーク時まで回復し、非正規雇用労働者を正社員化した場合、国内需要が34・6兆円増加し、これによってGDP(国内総生産)が30・4兆円拡大します。(表参照)
2011年の名目GDPが470兆円であるため、経済成長率が6・47ポイント上昇するとしています。
経済成長により誘発される雇用創出は316万人で、働くルールの確立による420・6万人とあわせて736・6万人の雇用創出につながるとしています。
これに必要な原資は56兆円。全企業が抱える内部留保460兆円の12・2%を活用すればすむとしています。
巨額に膨れ上がった内部留保の源泉は、賃金削減と企業税(法人税、法人住民税など)減税によるものだと指摘しています。
賃金水準は97年度をピークに低下。この97年水準を維持した場合、98〜2011年度の間に労働者に対して144・3兆円の賃金が支払われるはずでした。一方、企業税を89年の40%(現在30%)に維持したと試算すると、企業は90〜11年度の間に173・8兆円も減税されたことになります。この賃金減額と企業減税額をあわせると、318・1兆円の利益を得たことになると指摘しています。
日本経済のマイナス成長の直接・最大の原因は、賃金低下を主因とする内需の縮小にあると指摘。「デフレ不況」を打開するには、(1)外需依存から内需充実型に転換する(2)そのカギは、企業経営を国民生活重視の方向に転換する(3)そのためには内部留保を社会的に還元・活用することが有効だ―と提言しています。
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