2012年12月26日(水)
研修医の過労死は労災
弘前労働基準監督署が認定
青森県の弘前市立病院で研修医として勤務した28歳男性の過労死について、弘前労働基準監督署が20日付で労災と認定したことを25日、被災者代理人の川人博弁護士が会見で明らかにしました。
男性は、中国出身の呂永富(ろえいふ)氏。2002年に来日し、10年3月に弘前大学医学部を卒業後、同年4月から弘前市立病院で研修医として勤めだしました。勤めて8カ月後の11月28日、急性循環不全で死亡しました。
代理人の推計によれば、遅くても午前8時すぎには勤務を開始し、帰宅時間は早くても午後8時半以降で、手術が長引けば深夜0時をすぎることもありました。土日勤務も多かったといいます。男性の時間外労働時間は、少なくても発症前の1カ月目で142時間43分、同2カ月目で143時間4分と見込まれます。
弘前労働基準監督署は、被災者には長時間の過重労働が認められる、として労災を認定しました。
この過労死の背景について、川人弁護士は、青森県をはじめ東北地方に顕著な医師不足があるとしています。2011年3月におきた東日本大震災をうけて東北地方の医師不足はいっそう重大な問題になっていると指摘します。
また、04年の研修医制度の改革によって、大都市への研修医の集中がすすんだことも背景にあるとしています。
患者の命を守る病院において、まずは病院で働く人たちの命を守る対策を適切にとることは、安全で十分な医療提供のうえでの重大な課題だと強調しています。