2012年12月26日(水)
主張
自公政権合意
増税・原発・改憲の暴走許さず
自民党の安倍晋三総裁と公明党の山口那津男代表が会談し、連立政権合意に署名しました。26日の首相指名のあと発足する、第2次安倍政権の基本になるものです。
合意には、2014年4月から実施予定の消費税増税を確実にするための対策や、環太平洋連携協定(TPP)参加の準備に加え、原発の再稼働容認や憲法改悪の土台づくりなどの内容が盛り込まれました。増税、原発、改憲連合の暴走を許さないことが重要です。
増税実行の条件づくり
自公合意は、安倍氏が最優先課題にするとしている景気対策のため、予算の早期成立や公共投資の拡大、「物価目標」を2%とし大胆な金融緩和を断行することなどを掲げています。“超”がつくほどの金融緩和と公共事業の拡大で、景気がよくなる保証はどこにもありません。むしろ金融政策の健全性が損なわれ、財政がさらに悪化し、物価の上昇で実質賃金が低下、年金も目減りして国民の暮らしがさらに悪化する懸念が深刻です。異常な経済政策に踏み込もうという自公両党の責任は重大です。
しかも安倍氏は、景気対策を重視するのは、来年4〜6月期の経済成長率がよくなければ2014年4月から実施予定の消費税増税が実現できなくなるからだと、その狙いを隠しません。自公両党が民主党といっしょになって成立を強行した消費税増税を国民に押し付ける条件づくりのための異常な経済運営はまさに言語道断です。
自公合意は原発についても「可能な限り原発依存度を減らす」とするだけで、原子力規制委員会が認めた原発については再稼働を容認する姿勢を露骨にしています。安倍氏は原発の新増設さえ認めていく方針です。東京電力福島原発の深刻な事故さえ反省せず、原発からの撤退を求める国民世論に背くのは許されません。
例外のない関税ゼロで農業などに壊滅的な打撃を与えるとともに、アメリカ流のルールの押し付けで「食の安全」や国民皆保険制度を脅かすTPPへの参加についても、自公合意は「国益にかなう最善の道を求める」と交渉に前のめりです。農業団体や医師会など広範な反対を踏みにじるものです。
安倍氏がとりわけ執念を見せている改憲についても自公合意は、「憲法審査会の審議を促進し、改正に向けた国民的な議論を深める」ことが明記されました。自公の政権合意で改憲が書き込まれたのは初めてです。安倍氏はまず衆参の3分の2の賛成で改憲を発議するとした憲法96条の改定を持ち出していますが、狙いとするのは憲法9条を改悪し、集団的自衛権行使の一切の障害をなくし、自衛隊を「国防軍」にすることです。日本を再び「戦争する国」にする策動は絶対に許されません。
「虚構」の多数が実態
自公両党がこの合意をもとに発足させる連立政権は、議席では衆院の3分の2を超しますが、得票率では比例でも小選挙区でも4割そこそこの文字通り「虚構」の多数です。議席の数にものをいわせて、国民の意思を踏みにじり悪政を強行することは許されません。
消費税の増税やTPPに反対し、原発からの撤退や日本の平和を求める世論は選挙前も選挙後も変わりません。自公の合意にもとづく安倍政権の暴走を許さないため国民のたたかいが重要です。