2012年12月25日(火)
どうなる高校無償化
所得制限導入なら新たな負担増も
高校授業料の無償化を「バラマキ」と攻撃してきた自民党は、総選挙の公約に明記した所得制限の導入に動いています。補助対象の線引きとなる世帯収入は700万円程度で調整しているとされます。
高校無償化は、長年の国民の運動を受け、民主党政権下の2010年4月に導入されました。公立高校の授業料は徴収しません。私立高校については、年額11万8800円を支給、年収350万円未満程度の世帯には加算がされています。
自民党の甘利明政調会長は21日のBS番組で「(所得制限の検討は)13年度まで待ってもいいという議論もある」とのべ、来年4月からの導入は見送る考えを示しています。
所得制限をつけるには高校無償化法の改定が必要なうえ、来夏に参院選を控え、所得制限の線をどこに引くかによって国民の大きな反発を招くからです。かりに世帯年収700万円で線を引くとすれば、“高所得者”とはいえず、批判は避けられません。
無償化にともない民主党政権は、所得税と住民税の特定扶養控除の上乗せを廃止(16〜18歳)したため、年収700万円台では4万〜6万円、年収の高い世帯では11万円程度の増税になっています。授業料無償化をやめれば、これらの世帯は無償化前より負担が増えることになります。
甘利氏は同番組で「(控除縮小で、すでに)事実上の所得制限が入っている」「(無償化をやめれば)所得の高い人ほど負担がでてくる」と認め、税制改定と一体で考える必要性を示しました。
財源が限られている場合、高額所得者への所得制限導入は一概に否定されるものではありませんが、高校進学率は97%を超えており、「準義務教育」ともいえるものです。無償化が世界の流れです。 (西沢亨子)