2012年12月23日(日)
日弁連全国一斉ホットライン
生活保護 不安増大
「受けられる?」相談急増
貧困拡大おかしいの声大きく
生活保護バッシングの影響で利用者の不安が広がっていることが、このほど行われた日本弁護士連合会による「全国一斉生活保護ホットライン」でわかりました。2006年から毎年行われているホットラインでは過去最多、1771件(追加の集約数を加えると2017件)の相談が寄せられました。
生活保護未利用者からの相談は1039件にのぼりました。その相談内容のうち不安の訴えが534件あり、「生活保護を受けられないのではないか」という声が345件を占め、圧倒的多数になりました。また、利用者428件の約2割が「保護を打ち切られるのではないか」という相談でした。
ホットラインに関わった小(お)山(やま)哲弁護士は相談内容から「生活保護バッシングの影響が非常に大きく、最後のセーフティーネットのハードルが高く利用しづらいものになっていると感じた」としています。加えて、「家族に扶養してもらえ」と相談者を門前払いするなど「福祉事務所の違法な対応が横行している」と指摘します。
小久保哲郎弁護士は、2008年は派遣切りされた単身男性からの相談が多かったのに対し、今年は高齢者や持ち家がある人、自営業がうまくいかなくなった人からの相談が目立ったといいます。
相談者を年代別で見ると、60歳代以上が最多で745件を占めました。
わずかな年金生活者で同居の子どもが精神疾患で働けない、働けても収入が少なく家族で支えきれないなど深刻化しています。小久保弁護士は貧困の広がりを指摘します。
小山弁護士は「生活保護の増大は、年金や医療などの社会保障のネットとさらにその上にある雇用のネットのいずれもが崩壊していることが原因だ。社会構造を変えないと貧困の拡大は止められない」と強調します。
そして、「一部の人たちに富が集中し、他の人たちが虐げられている事実に、大半の人は気付いていない。この不公正を多くの人に知ってもらい、『おかしい』の声を大きくしていかなければならない」と話します。
給付カット狙う自民
生活保護の利用者を不安に陥れた「バッシング」には自民党の国会議員らが積極的にかかわりました。自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」の中心議員です。
自民党は同チームがまとめた政策をもとに「生活保護費給付水準の原則1割カット」を政権公約に掲げました。生活保護は、最低賃金や税金、保険料、各種福祉制度の基準ともなっており、その引き下げは国民生活に大きな影響を与えます。
旧自公政権が廃止した生活保護・老齢加算の復活を求めてたたかう生存権裁判の訴訟団や貧困問題に取り組む団体は、新政権による生活保護改悪の動きに対して運動を強めています。
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