2012年12月22日(土)
イラク戦争検証 外務省報告
意思決定解明されず
外務省は21日、2003年のイラク戦争に関する日本政府の対応について検証した報告書の概要を公表しました。概要は、当時「イラクに大量破壊兵器が存在しないことを証明する情報を外務省が得ていたとは確認できなかった」として、イラク戦争の口実となった大量破壊兵器の存在を確認しないまま、米国がおこしたイラク戦争を支持したと結論づけました。
イラク戦争への対応の検証は各国で進められ、米国は04年に「大量破壊兵器は存在しなかった」と断定する約500ページの報告書を公表。英国やオランダでも議会を中心に厳しい検証が行われましたが、日本はイラク戦争支持を正当化し続けてきました。
民主党は野党時代、小泉自公政権のイラク戦争支持や自衛隊派兵を厳しく批判し、適切な検証を行うと主張していました。ところが、外務省が発表した概要版はわずかA4用紙4ページ分。報告書全文は「各国との信頼関係を損なう」ことから非公開としています。
また、当時の省内関係者にインタビューを行ったなどとしましたが、聞き取り範囲も示されておらず、大量破壊兵器の存在が確認されないまま、なぜイラク戦争を支持したのかといった意思決定の過程はまったく示されていません。
自衛隊イラク派兵差止訴訟弁護団の川口創事務局長は「検証の名に値しない。こんなものを『検証』と称して公表すること自体、国際社会の恥だ」と批判。「この時期に出したのは、アリバイ的にイラク戦争の“検証”を終え、集団的自衛権の行使に向かうためではないか」と指摘しました。