2012年12月20日(木)
きょうの潮流
置き土産にしては、ひどすぎないか。民主党政権は大負けした選挙直後なのに、米軍普天間基地を名護・辺野古に移すために必要な文書を沖縄県に再提出しました。基地をつくる際に環境への影響を調査したものです▼突然の提出に戸惑う県側。防衛省から県庁に連絡があったのは提出の5分前だったそうです。「どさくさ紛れ」「普通のやり方ではない」▼名護の稲嶺進市長は「言っていることとやっていることが全く逆のことばかり」と、政府の対応を批判します。仲井真知事さえ「想定外」▼一刻も早く基地をなくしたい。沖縄の思いは政権が代わっても展望はみえてきません。自民党の安倍総裁は「日米同盟の強化をはかりたい」と、さっそく目は米国に。沖縄に心を寄せるそぶりさえないのですから▼米軍基地の7割が集中し、県民の命と安全がつねに脅かされている沖縄。いま、その危険性を知らせる動きが改めて活発になっています。全国を回る青年劇場公演の「普天間」。3世代にわたる家族を中心に世界一危険な基地の周りに住む人々の記憶の交錯を描き出します▼1959年、米軍機が沖縄の宮森小学校に墜落。それから45年後の2004年に米軍の大型ヘリが沖縄国際大学に落ちました。基地あるがゆえに起きた二つの事故。それを絡ませながら、いまの日本に平和とは何かを問いかけたのが、来年1月公開の映画「ひまわり」です。沖縄を傷つけ、悲しみを生む基地。それに気づき、声をあげていく若者の姿に希望を託します。