2012年12月19日(水)
宮城・気仙沼 防潮堤3.2メートルで整備へ
住民“7メートルは養殖に困る”
宮城県気仙沼市などで計画される防潮堤整備をめぐり、県気仙沼土木事務所は一部地域での計画の見直しを正式に決定しました。18日、本紙取材に答えました。
同土木事務所によれば、同事務所が管理する海岸で防潮堤整備計画が見直されたのは初めてです。
同市大島の亀山・葡萄(ぶどう)沢地区では震災前、標高3・2メートルだった護岸堤防を新たに7メートルの堤防として整備する計画でした。同地区でカキなどを養殖する住民からは、7メートルの堤防では浜が覆われ、生活が成り立たなくなるとして、計画を見直し原形復旧にとどめるよう求める要望書が提出されていました。
同事務所は現地の状況を再度確認。▽浜が他の浜とつながっておらず、完結している▽道路も浜で終わっており、他の地域への交通の途中とならない▽災害危険区域に指定され、将来住宅が建たない―などの条件が満たされており、原形復旧でも構わないとの見解を示していましたが、今回、正式に震災前の標高3・2メートルでの整備を決定し、14日、その旨を市に報告しました。
県気仙沼土木事務所の菅野洋一次長は、「今後も原形復旧が可能な地区があれば検討したい」としています。
同地区でカキ・ホタテを養殖する男性(37)は、「原形復旧と決まってホッとしました。しかし、堤防背後の民有地のかさ上げについてはまだ予算がついていません。地盤沈下で今でも冠水するので、行政として具体策を示していただくのが次の課題です」と話しています。