2012年12月16日(日)
志位委員長の最終日の訴え
日本共産党の志位和夫委員長が衆院選最終日の15日に神奈川、東京、千葉で行った街頭演説の内容を紹介します。
いよいよ明日が投票日となりました。この選挙、日本共産党は議席の倍増、躍進を目指して最後まで力をつくします。比例代表選挙で、日本共産党と書いていただく方を広げに広げ、大激戦を勝ち抜かせてください。(拍手)
過去2回の総選挙の体験――今度こそ「本物の改革の党」を選んでください
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みなさん。今度の選挙では、最後までどこに入れたらいいのかを迷っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。私は、それには理由があると思います。
過去2回の総選挙を振り返ってみますと、2005年の総選挙――小泉政権による「郵政選挙」というのがありましたでしょう。「郵政民営化、是か非か」が叫ばれ、自民党が圧勝し、「小泉チルドレン」という人たちがたくさん生まれました。しかし、その結果、貧困と格差が日本中に広がり、社会保障が壊され、国民はひどい目にあいました。
前回の2009年の総選挙では、「政権交代」が争点とされ、民主党政権ができました。あのときには「小沢チルドレン」といわれる人たちがたくさん生まれました。しかし、「政治を変えてほしい」という国民の期待は、ことごとく裏切られ、政治はいよいよひどくなりました。
みなさん。「仏の顔も三度」というではありませんか。今度こそ、この間の体験を思い起こしていただき、各党の姿を事実にてらして見極めていただいて、みなさんの願いをたくせる「本物の改革の党」を選んでください。(拍手)
政権の担い手を取り換えても、日本の政治がいよいよひどくなる。その根っこには、いまの日本の政治がおおもとから腐っているという問題が、私はあると思います。国民の多数が反対している消費税増税、原発再稼働を強行する、その根っこには、「財界中心」の政治のゆがみがあります。沖縄が島ぐるみ反対したオスプレイ配備を強行し、TPP参加へと暴走する根っこには、「アメリカいいなり」の政治のゆがみがあります。この「二つのゆがみ」に縛られているかぎり、「政治を変えたい」というみなさんの期待にこたえることはできない。これを大本から正そうといっているのが日本共産党であります(拍手)。今度の総選挙を、日本共産党を躍進させていただき、本物の改革に踏み出す選挙にしていこうではありませんか。(拍手)
「消費税に頼らない別の道がある」――責任ある対案を示す唯一の党
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みなさん。「本物の改革の党」をどうやって見分けるか。最終日に当たって私は、日本共産党ならではの、「四つの値打ち」を訴えさせていただきたいと思います。
第一は、日本共産党が、消費税増税に反対するとともに、「消費税に頼らない別の道がある」――この責任ある対案を具体的に示している唯一の党だということです。
大不況のもとでの大増税は、絶対に許せるものではありません。一口で「税率10%」と言いますが、サラリーマンのご家庭にとっては税率10%というのは、ほぼ1カ月分のお給料が消費税に消えてしまうことになります。中小企業の7割が「増税されたら、販売価格に転嫁できない。身銭を切って払わざるを得ない」と答えています。デフレ不況の悪循環を底なしにしてしまいます。
だいたい消費税増税は公約違反です。前回の総選挙で、民主党は、「4年間は上げない」と公約したではないですか。公約を破らせたのは自民党と公明党です。公約やぶりで増税法案を強行した民主党・自民党・公明党の「増税3兄弟」には退場の審判を下していこうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
日本共産党は、「消費税に頼らない別の道がある」ということを具体的に示しています。まず、富裕層と大企業優遇の不公平税制を正す税制改革を実行します。富裕層に減税をバラまいてきた結果、所得1億円を超えると、所得税の負担率が下がってしまうという不公平税制が生まれています。大企業への優遇税制の結果、中小企業よりも大企業の方が法人税の負担率が低いという不公平税制があります。この二つの不公平税制を正して、まず富裕層と大企業に応分の負担をしてもらおうではありませんか。(拍手)
同時に、働く人・国民の所得を増やす経済改革を実行します。非正規で働いている方は35・1%と最悪となっています。労働者派遣法を抜本改正し、均等待遇のルールをつくって、みんなが正社員として安心して働ける日本をつくろうではありませんか。中小企業にしっかりと手当てをしながら、最低賃金を時給千円以上に大幅に引き上げようではありませんか。大企業と中小企業が公正に取引できるルールをつくり、下請け単価を適正なものに引き上げようではありませんか。
こういう改革をやりますと、大企業が、この不況のもとでも積み上げている260兆円の内部留保――ため込み金が動きはじめます。内部留保の一部を雇用と中小企業に還元すれば、日本経済が内需主導の健全な成長の軌道に乗ってきます。税の自然増収も起こってきます。
この二つの改革を同時並行でやりますと、10年後に約40兆円の財源がつくれます。この40兆円で、年金、医療、介護、子育てを充実し、財政危機も打開しようというのが、日本共産党のプランであります。
みなさん。「消費税に頼らない別の道」――責任ある対案を示している日本共産党を躍進させることこそ、増税阻止の一番の力になるのではないでしょうか。(大きな拍手)
「即時原発ゼロ」――正面から堂々と提案している党
第二は、日本共産党が、「即時原発ゼロ」を正面から堂々と提案している唯一の政党であるということです。
この間、何回か、テレビで党首討論会が行われました。10年後、20年後、30年後、40年後に「ゼロにする」という主張をする党もあります。「ゼロにしない」といってがんばっている自民党や「維新の会」のような党もあります。しかし、どちらにせよ、そういう立場に立ちますと、原発の再稼働をやるということになります。そこで私は、討論会で、「いったいどの原発の再稼働をやるというのですか」。こう問いただしてみましたが、誰からも答えがありません。
大飯原発でも、敦賀原発でも、青森県の東通原発でも、活断層が問題になっているではありませんか。日本のどの原発も、活断層と無縁な原発などありませんよ。そうしますと、再稼働はやってはならないだけではない。できないのです。それならば止めたまま廃炉にするのが一番現実的ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
原発推進派からは、「原発をなくすとコストがかかる」、こういうことが言われます。このあいだの党首討論会では、「維新の会」の石原慎太郎代表が、「共産党のいうようにはいかない」「コストがかかる」「産業がつぶれる」と言ってきました。そこで、私は、「コストというのだったら、原発こそ究極の高コストだ」と反論したんです。政府や財界が出してくる電力コストの「試算」には、入っていないものがあります。福島の原発事故の後始末――除染、賠償、廃炉の費用は、何十兆かかるかわからないけれども、「試算」に入っていないんです。「核のゴミ」――使用済み核燃料の処分も、何十兆かかるかわからないけれど、「試算」に入っていないんです。そういうコストをすべて含めたら、私は、「原発こそ究極の高コスト」だということを言わなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)
原発から自然エネルギーに切り替えてこそ、日本経済の明るい未来も開かれてまいります。「即時原発ゼロ」――日本共産党をのばして実行させようではありませんか。(拍手)
人類社会は、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマと、3回の大災害を体験しています。私は、やがて「原発ゼロ」は世界の大勢になると思います。フクシマを体験した日本こそ、「原発ゼロ」の先進国になろうではありませんか(拍手)。すべての原子炉を廃炉にする、「核のゴミ」を処分する――これらは人類の英知を結集してとりくむべき巨大プロジェクトです。日本こそ、「原発のない世界」へむけて、国際的プロジェクトをすすめるイニシアチブを発揮すべきではないでしょうか。(大きな拍手)
憲法9条を守り抜き、9条を生かした平和外交にとりくむ党
第三に、憲法9条を守り抜き、9条を生かした平和外交にとりくむ党が、日本共産党だということであります。
党首討論会をやりますと、あちこちの党から、きな臭い風が吹いてまいります。いま、自民党も、民主党も、「維新の会」も、未来の党も、そろって、「集団的自衛権の行使をできるようにせよ」、「憲法9条を変えろ」の大合唱を始めています。これを許したら、どういうことになるでしょうか。
2003年にイラク戦争が起こりました。当時の小泉政権はイラクに自衛隊を派兵しました。しかし、イラク派兵法を読みますと、大事な条文が一つ入っています。「武力の行使はしてはならない」という条文です。憲法9条が歯止めになって、そういう条文が入りました。小泉首相はよく言ったでしょう。「戦闘地域にはいきません」「後ろの方で水をまいているだけです」。たしかに自衛隊を出したけど、戦闘地域に自衛隊を行かせることはできませんでした。
憲法9条を変えてしまったら、この歯止めがなくなってしまいます。アメリカがイラク戦争のような戦争をやったときに、日本の自衛隊が、戦闘地域にまで出かけていって、一緒に戦闘行動をやることになります。イラクの人々を殺したり、自衛隊員に戦死者が出る、こういうことになります。こんな日本に絶対にしてはならないということを、私は心から訴えたいと思います。(拍手)
みなさん。この間、いろいろなことが起こっています。北朝鮮が「ロケット」を発射したり、中国が飛行機を領空侵犯させることなどが、起こりました。私たちは、これらに対して、許されるものではないという見解を出しております。しかしみなさん、こういう問題が起こったときに、一番悪いのは、「力対力」のエスカレーションではないですか。冷静な外交的交渉によって解決する――これが一番大切ではないでしょうか。(拍手)
そして、この点でいいますと、日本に欠けているのは軍事力ではありません。道理にたった「外交力」こそ日本に欠けているということを、私は言いたいと思うのであります。(拍手)
北朝鮮問題についても、アメリカや韓国を含めて、関係諸国は、みんな独自の外交ルートをもって外交交渉を行い、北朝鮮に「国際社会の責任ある一員になりなさい」という働きかけをやっています。北朝鮮と、独自の外交のルートを持たず、交渉もやっていない「外交無策」の国は日本だけです。
尖閣諸島の問題もそうです。日本共産党は、日本の尖閣諸島の領有の正当性について、突っ込んだ見解を出しています。なぜここまで問題がこじれたかというと、歴代の日本政府が、日本の領有の正当性について、中国政府に対して、ただの一度も外交交渉のなかで、理をもって説いたことがない。ここでも「外交無策」こそが問題なのです。
「外交無策」で事態を悪化させてきた勢力が、いろいろな事が起こると、それに乗じて、やれ「憲法改定」だの、やれ「軍事力強化」だのという。こういうのは言語道断ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
憲法9条を生かした自主自立の平和外交によって、「核兵器のない世界」をつくる、「戦争のない世界」をつくる、世界とアジアの平和に貢献する平和日本をつくることこそ、日本が世界から信頼される一番の道ではありませんか。日本共産党は野党ですが、そういう精神で、世界とアジアに働きかける独自の外交にとりくんできました。
世界に誇る日本国憲法第9条を守りぬこう――この願いを、反戦・平和の党、日本共産党にお寄せください。(大きな拍手)
国民の選択にたる「政党らしい政党」――自前の財政、90年の歴史
第四は、日本共産党が、国民のみなさんの選択にたる「政党らしい政党」だということです。いま、たくさんの政党ができるなかで、日本共産党に「筋を通す党」、「ブレない党」という評価と注目が寄せられています。
日本共産党は、草の根で国民のみなさんとしっかり結びつき、草の根の力に支えられた「力ある政党」です。先日、私が、ある党首討論会にでましたら、VTRが流れまして、政党の離合集散の姿が映し出されました。司会者に「志位さん、どう思いますか」と問われて、私は、政党助成金こそ、いま政党を劣化させ堕落させている一つの根源ではないかと答えました。
選挙で、議席と票を得れば、国からお金がもらえる。それを当て込んで、政党の粗製乱造が起こっているのではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。民主党の収入の83%、自民党の収入の72%は、税金です。これでは「国営政党」ではありませんか。そこらへんに、自民党や、民主党の宣伝カーが走っていて、車輪が四つついていたら、そのうち三つはみなさんの税金です。腹が立つではありませんか。(笑い、拍手)
日本共産党は、企業・団体献金も、政党助成金もいっさい受け取っていません。草の根の力で支えられ、財政を自前でまかなっている、唯一の政党です。「身を切る」、「身を切れ」という話がよくありますが、「身を切る」というなら、政党助成金こそ、とっととなくせ――私は、こう言いたいと思います。(「その通り」の声、拍手)
そして、日本共産党の「ブレない」「筋を通す」、その根本には、90年の歴史があります。私たちは党をつくって90年、1世紀近い歴史で試された党であります。戦前、天皇絶対の暗黒政治の時代に、侵略戦争反対、主権在民の日本をつくろうと、命がけで主張した唯一の政党が日本共産党です(拍手)。たくさんの先輩たちが弾圧で命を落としました。しかし、歴史というのは必ず審判を下すものです。日本共産党の主張にこそ正義があったことは、戦後の日本国憲法のなかに、恒久平和と主権在民という原則が刻まれたことで、歴史が判定を下したのではないでしょうか。(拍手)
みなさん。1世紀近い歴史で試された日本共産党こそ、21世紀の未来を安心して託せる党ではないでしょうか。「入れて安心、日本共産党」――私はそのことを訴えたいのであります。(大きな拍手)
残る1日のたたかいです。比例代表選挙は、全国どこでも、一票一票を争う大激戦・大接戦となっています。私たちは、躍進のために、最後の最後まで力をつくしてがんばりぬきます。どうか、ご支持の輪をひとまわり、ふたまわり、広げに広げていただき、日本共産党の躍進を勝ち取らせてください。(「頑張れ」の声、大きな拍手)