2012年12月15日(土)
規制委東通調査
1メートル近い地層ずれ
東北電の説明を否定
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東北電力東通原発(青森県東通村)の敷地内にある破砕帯(断層)を調査した原子力規制委員会の専門家チームは14日、そろって、これらの断層が活断層の可能性が高いと指摘しました。
同原発敷地内には、原子炉建屋から約400メートルの位置にある「F―3」断層や、建屋から約200メートルのところに迫る「F―9」断層のほか、「s―14」断層、「s―19」断層があります。このうち「s―19」断層では、1メートル近い地層のずれが見つかり、その上部の地層がたわんで見える場所があります。
東北電力はこれについて「地層の一部が水を吸って膨らんだ膨潤(ぼうじゅん)」だと説明し、活断層ではないと説明していますが、前日の調査終了後、専門家から「つじつまがあわない」「根拠がわからない」などの異論があがっていました。
チームはこの日、3カ所のトレンチ(溝)で、これらの断層を詳しく観察。各トレンチの壁面に水をかけて表面の土を削り、カメラで地層の様子を収めるなどしました。地層のずれとたわみが見つかっている現場では、東北電力の説明者と議論する場面もありました。
調査を終えた島崎委員長代理は「(地層の変形は)F―3、F―9断層の再活動と思われるものがある。(F―3、F―9は)周辺に強い影響を与えている。同じことは将来も考えなければいけない」と述べました。
専門家チームは、調査結果について20日の評価会合で、活断層かどうかの評価を検討します。これらの断層が活断層と判断されれば、東通原発の再稼働の判断に影響するとみられます。
東通原発の耐震安全性をめぐっては、今回調査した敷地内の断層だけでなく、下北半島沖合にある長さ100キロメートル以上といわれる巨大断層「大陸棚外縁断層」の問題があります。この断層が活動する際に、敷地内の断層が連動する可能性があると指摘されており、耐震安全性の評価のあり方そのものを問う声もあります。
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