2012年12月10日(月)
広がる南米、メルコスル(南部共同市場)
ボリビア加盟へ
新自由主義からの転換掲げ
南米5カ国が加盟する関税同盟メルコスル(南部共同市場)の首脳会議が7日、ブラジルの首都ブラジリアで開催されました。会議には、7月に正式加盟が認められたベネズエラが正加盟国として初参加。ボリビアが6カ国目の正加盟をめざす協定に調印するなどメルコスルの拡大傾向が浮き彫りとなりました。
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現地からの報道によると、ブラジルのルセフ大統領は「ボリビアの加入はメルコスルをさらに強化するものだ」と指摘しました。
ボリビアのモラレス大統領は、中南米が欧米の植民地主義によって「人為的に分断されてきた」歴史を振り返りつつ、地域の団結を進める必要性を力説。「メルコスルは南米の諸国民を再び統一させるための偉大な努力を代表する」と語りました。
ボリビアの正式加盟は全加盟国の議会での批准が条件となります。それまでは、発言権は与えられますが、投票権は認められません。
会議には、準加盟国エクアドルのコレア大統領も出席し、正加盟に強い関心を持っていることを表明。同大統領は、原則として域内関税が撤廃されるメルコスルへの加盟が自国経済に与える影響を研究中で、来年3月までには結論を出すと述べました。
さらに、南米北部にありながら、メルコスルと関係の薄かったガイアナやスリナムの大統領が出席し、スリナムは、準加盟国となる意向を示しました。
ルセフ大統領は、開会あいさつの中で、ベネズエラの正加盟が承認された後、「メルコスルは新たな加盟国を引き付ける活力を示している」「メルコスルはより南米的な特色をもった統合という理想に向けて強化されつつある」と語りました。
メルコスル加盟5カ国の政権は新自由主義からの転換と国民生活向上を中心課題に掲げており、近年はメルコスル全体として貧困削減など社会開発問題を重視してきました。(菅原啓)
メルコスル(南部共同市場) ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国が1991年、設立に合意した関税同盟。95年に発足し、域内の関税は原則として撤廃されました。ベネズエラが2006年に加盟協定に調印(正加盟承認は今年7月)。準加盟国はコロンビア、ペルー、チリ、ボリビア、エクアドル。今年6月、パラグアイ国会がルゴ大統領への一方的な弾劾決議、罷免を強行したことを受け、メルコスルは同国の資格停止を決定しました。