2012年12月10日(月)
フジテレビ新報道2001
志位委員長の発言
日本共産党の志位和夫委員長が出演した9日放映のフジテレビ番組「新報道2001」の詳報は次の通りです。
国民の給料アップに何が有効か?
働く人の所得を増やし内需を活発に
司会者は、「国民の給料をアップさせるには何が有効か」と質問。野田佳彦首相は「成長の果実は賃金・雇用につながらなければ意味がない」、自民党の安倍晋三総裁も「日本経済を成長させ、所得を増やす」というものの、どちらも具体策に言及できないなかで、志位委員長は次のように述べました。
志位 デフレ不況の最大の原因というのは、働く人の賃金が下がり続けていることにあるわけです。1997年をピークに、1世帯平均で102万円下がっています。ここから抜け出そうと思ったら、働く人の所得を増やし、内需を活発にする――これに転換することがカギです(司会者「内需ですか」)。内需です。
具体的には二つあります。
一つは、消費税増税は中止する。増税をやったら13・5兆円の所得が奪われることになりますから。
もう一つは、働く人の所得をいかに増やすかの政策です。私たちは、雇用のルールを強め、非正規の方を正社員にする。それから、最低賃金、中小企業にはきちんと手当てを取りながら、大幅に引き上げる。それから下請けの単価を適正なものにする。
いま、不況下でも大企業の内部留保はどんどん積み増しされ、260兆円あります。その一部を使っただけでもこういう手当てができます。
国民の所得を増やす、内需を活発にする、この転換が必要です。
日本経済再生の策は?
経済も産業もダメにする大企業のリストラ競争――ここは政治の出番
「デフレ」脱却策をめぐり、安倍氏や公明党の山口那津男代表が金融緩和と「防災・減災対策」名目の大型公共事業を主張したのに対し、ゲストの藻谷浩介氏(日本総研調査部主席研究員)は「一番消費をする人にお金が行くことが重要」だと指摘。未来の党の嘉田由紀子代表や野田首相が「人への投資」を主張しました。このなかで、志位氏は次のように主張しました。
志位 働く人の所得を増やすことがカギだということを否定される方はいないと思うんです。どうすれば所得が増えるか。
いま大企業は「業績悪化」を理由に、ごく目先の利益だけを追い求めています。そのためにどんどんリストラの競争をやっている。これを1社でやると利益は上がります。しかし、全部でやったら、「合成の誤謬(ごびゅう)」とよくいいますが、社会全体の需要が冷え込んで、大企業も立ち行かなくなります。
それから、たとえば電機産業などでは13万人もの首切りをやろうとしていますが、技術職もふくめてどんどん首切りすると、新しい製品の開発力がなくなる、競争力がなくなる。日本の産業全体がいま衰退してきているんです。
ですから、ここは政治の出番なんです。そういう目先の利益追求だけに任せておいたら、どんどんどんどん悪い方向にいきますから、やはり政治が乗り出していって、先ほどいったような働く人の所得を増やす政策転換をやるべきだと思います。
きちんとした雇用のルールをつくる、そして最賃(最低賃金)を上げる、それから中小企業と大企業の公正な取引ルールをつくる。政治の出番だと思います。
この景気状況でも消費税増税すべきか?
景気が良かった97年の5%への増税でも大不況に――大不況のもとでの増税はありえない
「この景気状況でも消費税増税をすべきか」との司会者の問いに対し、野田首相や維新・石原慎太郎代表、国民新・自見庄三郎代表、公明・山口代表が「マル」の札をあげたのにたいし、志位委員長はじめ他の野党党首が「バツ」の札を掲げました。一方、安倍氏はどちらの札もあげず、「マルとかバツとか単純にはいえない」「デフレ傾向によっては上げることはできない」などと発言。これには野田首相が「3党合意をしたのに、なんですか今のは。おかしい」と憤慨する場面もありました。
嘉田氏は「もちろん、福祉のために(消費税増税は)必要」だが、「いまはその時期ではない」と主張しました。
志位氏は次のように述べました。
志位 いま民主党と自民党でやっていましたが、97年に(消費税率を)5%に上げたときのことを思い出してほしい。あのときは景気はよくなっていました。よくなっていたけど、2%上げたために、どーんと景気の底が抜けた結果、税収も90兆円から76兆円に14兆円減ったんです。あのときですらそうなったわけで、こんな大不況のもとでは絶対にこの増税はありえない。
山口氏は「上げるという決断のもとに、景気対策をやって押し上げる。結果をみて、どうしても(景気が)悪ければ上げない決断、時期をずらす決断もできる。これが3党合意だ」と発言。野田首相も「その通り。だからマルだ」とのべました。