2012年12月8日(土)
批判派の要求拒否
エジプト大統領 国民投票強行へ
【カイロ=小泉大介】エジプトで大統領支持派と批判派との衝突が激化するなか、モルシ大統領は6日夜にテレビ演説を行い、批判派が求める「権力集中宣言」撤回と今月15日実施予定の憲法国民投票延期に応じない態度を示しました。8日に「国民対話」を実施すると表明したものの、批判派は拒否する構えです。
モルシ大統領は、5日に大統領宮殿付近で発生した大規模衝突について、「この痛ましい出来事は政治的な意見の相違から生じたもので、対話により解決されるべきだ」と指摘。「すべての政治指導者、革命的青年、法律家らによる建設的対話」への参加を呼び掛けました。
同時に、憲法国民投票は予定通り実施し、その終了後に「権力集中宣言」を破棄するとの従来の主張を繰り返しました。
一方、大統領の強権政治を批判する政治勢力の統一組織「国民戦線」は6日の声明で、「大統領が国民の要求を無視していることは対話のドアを閉じてしまっているということだ」と強調し、新たなデモに取り組むことを国民に訴えました。
大統領を支持するイスラム主義勢力・ムスリム同胞団の集団らによる批判派デモ隊への挑発に端を発した5日の衝突の犠牲者は、6日までに死者7人、負傷者770人以上に達しました。衝突を受けて、大統領宮殿周辺には6日、軍の戦車や装甲車が展開。暴徒化したデモ隊が同日、ムスリム同胞団の本部を襲撃し、一部が燃えました。