2012年12月7日(金)
保育・子育て
民主がしたのは市場化と「規制緩和」
消費税増税法の強行への批判をかわそうと、選挙戦で民主党の野田佳彦首相は「一番大きく変わったのは子育て支援。政権交代の前と後では全然違う」などと誇っています。しかし、民主党政権が力を入れたのは保育の規制緩和。実態は、保育の市場化であり、保育現場の破壊でした。
消えた「公約」
厚労相だった民主党の前衆院議員は、「保育の受け皿を大幅に拡充」などと候補者ビラで宣伝しています。しかし、待機児童数は2012年4月時点で約2万5千人、09年4月が約2万5千人で、高水準は自公政権のときと変わりません。
民主党の今回の政策では09年の総選挙政策にあった「認可保育所の増設」の言葉は消えています。
自公政権は“待機児童ゼロ作戦”と称して、保育所整備ではなく定員以上の詰め込みを推進してきました。
最低基準撤廃
民主党はさらに、自公政権でさえはずせなかった定員の歯止めを取り払いました(10年)。運営・設備の国の最低基準を撤廃し、地方任せ(11年)にしたのです。待機児童の多い東京都、大阪市などの35自治体では、欧州などに比べただでさえ低い面積基準の引き下げを許しました。
これを受けて大阪市では、橋下徹市長(維新代表代行)は、0歳〜5歳まですべて1人あたり畳1枚分(1・65平方メートル)に引き下げました。(12年)
これらの“待機児童解消”策は、子どもの命を危険にさらし、認可保育所での園児の死亡事故を急増させています。
野田首相が成果とする「子ども・子育て新システム」は、国と市町村の保育に対する責任を後退させ、保育を営利企業にゆだねるものです。ビルの一室など基準の低い施設を容認し、保育環境の格差の固定化を招きます。
保育の市場化、営利化という同システムの原案をつくったのは自公政権。それを引き継ぎ完成させた民主党政権は、自公両党の助けを借りて国民の反対の声を押し切りました。
日本共産党は、国の責任で当面1年に10万人分、3年間で30万人分の認可保育所を新・増設し、待機児童を解消します。保育士の労働条件や最低基準を改善し、無認可保育所の保育条件の改善を図ります。待機児童解消にはならない「新システム」の実施は許しません。財源は、軍事費などのムダの一掃と富裕層、大企業に応分の負担を求めて確保します。主な財源が消費税の「新システム」では、子育て世代に二重に困難を押し付けるだけです。(鎌塚由美)
日本共産党の子ども・子育て政策(抜粋)
○放射能から子どもを守る
―福島の子どもの健診・医療を国の責任で
○「いじめ」問題を学校と社会の努力で解決
○安心して子育てできる条件整備
―妊娠、出産による解雇許さず、育休制度改善
―学童保育の拡充、指導員の待遇改善
―子育ての経済的負担軽減
○子どもの命と健康を守る
―小児科、救急医療体制の確立
―児童虐待の防止対策の強化
「未来」嘉田氏 新システムに「期待」
未来の党の嘉田由紀子代表は小沢一郎氏との対談(1日、自由報道協会)で、民主党が推進した「(子ども)子育て新システムにわくわくして、大いに期待した」と語りました。
“民主党には期待したのに…”という文脈で語られたものですが、「新システム」は民主党の公約にはなかったもの。しかも対談相手の小沢氏はじめ民主党を離れ未来の党に入ったほとんどの議員が「新システム」法に反対票を投じました。
子育て支援を強調する嘉田氏ですが、保育を産業化する「新システム」は子育て支援とはあいいれません。