2012年12月6日(木)
障害者条約の批准否決
米上院 根強い“単独行動主義”
【ワシントン=小林俊哉】米上院(定数100)は4日、障害者への差別を禁じた国連障害者権利条約の批准をめぐり採決しましたが、賛成票が批准に必要な3分の2に届かず、否決となりました。国連海洋法条約の批准なども懸案となっている同院ですが、今回の否決は、米議会に根強い“単独行動主義”の傾向を改めて印象づけました。
国連障害者権利条約は2006年に国連総会で採択され、すでに155カ国が調印し、126カ国が批准。英仏独などの欧州連合(EU)諸国をはじめ、中国、ロシアなども批准を済ませています。
米国はオバマ大統領が09年に調印。障害者の権利擁護団体や、退役軍人グループなどが批准を強く求め、民主・共和両党にまたがる超党派の支持も広がっていました。
ところが、採決結果は賛成61、反対38で、批准に必要な67に届きませんでした。反対したのは、国連中心の枠組みや条約への参加を、米国への主権侵害と考える野党・共和党のグループ。「反米の偏見を持つ国際組織が米社会に介入することは支持しない」(インホフェ上院議員)などと主張しました。
「宗教」上の立場から国連に猜疑(さいぎ)の目を向けるキリスト教右派グループも、反対の急先鋒(せんぽう)となりました。
権利擁護団体・全米障害者協会(AAPD)は4日、否決を遺憾とする声明を発表し、「批准に向けて草の根と議会への啓発活動を続ける」としました。