2012年12月6日(木)
アスベスト「国に責任」
首都圏建設訴訟 10億円賠償命じる
東京地裁判決
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建設現場で建材に含まれるアスベスト(石綿)にさらされ、肺がんや中皮腫など深刻な健康被害を受けた首都圏の建設労働者や遺族337人が、国と建材メーカー42社を相手どり賠償を求めた訴訟の判決が5日、東京地裁でありました。
始関正光裁判長は、国が1972年頃にはアスベストが重篤な疾患を発症させる危険性を認識しており、81年までに防じんマスクの着用や警告表示の義務付けなどの新たな規制措置をとればそれ以降の被害拡大を相当程度防ぐことができたと国の規制権限不行使を断罪し、原告170人について総額10億6394万円の賠償を命じました。
「一人親方」「零細事業主」については労働安全衛生法の保護対象に含まれないとして請求を棄却しました。また、被告メーカー群の製造した建材に含まれる石綿で各原告が発病したと指摘したものの、個別メーカーの製造責任とメーカー間の共同不法行為については認めませんでした。
アスベスト建材を扱った時期や場所の特定が困難な建設労働者らが全国6地裁で起こした建設アスベスト訴訟の判決は、訴えを退けた5月の横浜地裁につづき2件目。原告勝訴の判決は全国初です。