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2012年12月6日(木)

笹子トンネル崩落、改修を先延ばし

費用懸念し安全対策軽視

関係者証言

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 中央自動車道上り線の笹子トンネル(山梨県大月市、甲州市)でコンクリート製の天井板が崩落し9人が死亡した事故で、同トンネルと同じ構造だった小(こ)仏(ぼとけ)トンネル(東京都八王子市、神奈川県相模原市)では、中日本高速道路の前身、旧道路公団が2001年と03年に天井板を撤去していたことが5日、本紙の調べでわかりました。

 関係者などの証言などから、改修費用への懸念から中日本高速が対策を先延ばしし、安全対策に消極的だったことが浮き彫りになりました。

 事故が起きた笹子トンネルは、トンネル最上部に固定されたつり金具がコンクリート製の天井板を支える構造。同トンネル上り線が全長4700メートルあるのに対し、小仏トンネルは約2000メートル。

 小仏は、01年11月に上り線、03年11月に下り線で、天井板を撤去し、換気用のジェットファンを設置。照明も更新していました。中日本高速は本紙に「小仏以外にも他のトンネル数カ所で改修を行った。笹子については、検討していたが『やる』という結論にはなっておらず、内部での検討にとどまっていた」と認めました。

 中日本高速の道路管理に関わった関係者は「小仏を改修した時、『次は笹子の改修をすべき』『笹子の方が危ない』と現場関係者は言っていた。ところが、改良には工事費がかかり過ぎるのと作業が大変なので、距離が長い笹子はずっと引き延ばしにされていると聞いた」と話しています。(矢野昌弘)


新設よりも維持・管理を

穀田恵二前衆院議員が談話

 中央自動車道の小仏トンネルで実施された改修が、危険を指摘されながら笹子トンネルでは後回しにされたことに強い憤りをおぼえます。道路利用者の安全よりも利益を優先した結果です。

 私は、3月1日の衆院予算委員会で道路、橋、下水道、学校、ダムなどの維持・更新に巨額な費用がかかることを指摘し、新規の建設を抑制して、維持・更新に回すように提案しました。2011年度から60年度まで50年間の更新費は約190兆円と推計され、25年後には維持費、更新費ともに賄えない事態に陥ると警告されています。

 1960年代の建設ラッシュ、日米構造協議による公共投資の押し付けなどにより、膨大な投資が行われてきました。さらに、高速道路には33兆円もの巨大な新規投資が計画されています。

 道路の安全・安心を確保するには、無謀な新規投資は抑制し維持管理、更新に重点をシフトして大型開発事業から命と暮らし、地域密着型の公共事業に変えることが切実に求められています。

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