2012年12月5日(水)
主張
第一声と消費税増税
公約違反の責任なぜ語らない
総選挙が公示され、各党党首の第一声に耳を傾けました。民主、自民などの党首が福島で第一声を上げたのは東日本大震災を意識してですが、震災復興や原発問題とともに今回の総選挙の大争点は、消費税増税問題です。民主党が前回の総選挙での公約を裏切り、自民、公明両党と手を組んで消費税増税法の成立を強行して初めての国政選挙です。消費税大増税は被災地の住民にも重大な負担を押し付けます。民自公の3党首がそろって第一声で消費税増税の責任を語らなかったのは、国民の願いを踏みにじったことへの反省のなさを示すものです。
そろってだんまりの異常
民主党は3年前の総選挙で、「消費税を(衆院議員の任期の)4年間は上げない」(鳩山由紀夫代表=当時)と約束して政権を獲得しました。にもかかわらず野田佳彦内閣が消費税増税法を国会に提出し、自公の賛成を得て成立させたのは、重大な公約違反です。
野田首相は増税法成立直後には公約違反を「反省」するそぶりを見せたのに、総選挙にあたってはまったくのだんまりです。それどころか、消費税増税と一体の社会保障「改革」を手柄顔で宣伝する始末です。岡田克也副総理にいたっては第一声で、「与党になって考えを変えた」と開き直っています。
わずか4カ月前の国会で消費税増税法案の成立を強行し、今度の総選挙が国民の審判を受ける初めての機会だというのに、消費税増税に触れようともしないというのはまったく異常です。消費税増税にだんまりというのは自民党の安倍晋三総裁や公明党の山口那津男代表の第一声もまったく同じで、文字通り、都合の悪いことは覆い隠すという態度です。
大体野田首相は、国会で公約違反を追及されると、「実施する前に国民の信を問う」と繰り返していたのではなかったのか。第一声で消費税の「消」の字もないというのはあまりに不誠実です。民主党とともに消費税増税を強行した自民、公明も同罪で、国民に大増税を迫りながら、まるで“すんだこと”として選挙を乗り切る姿勢は無責任きわまりないものです。
国民は消費税増税法が成立したからといって、増税を認めたわけではありません。最近の世論調査でも、東京新聞では増税反対が55・6%にのぼり、NHKでも増税反対が35%で賛成の29%を上回っています。公約違反についての責任を明らかにし、主権者である国民に消費税増税の是非を問うのは、民主主義を守る最低限の責任です。消費税増税にだんまりを決め込む政党には、国民に信を問う資格がないというしかありません。
増税中止の審判を
日本共産党の志位和夫委員長は第一声で、深刻な「デフレ不況」下で国民から13兆5千億円もの所得を奪う大増税を強行すれば日本経済をどん底に突き落とすと、消費税大増税の中止を正面から提起しました。内需を拡大し「デフレ不況」から抜け出すには、まず消費税増税を中止することです。
日本共産党は、選挙後の国会に消費税増税を中止させる法案を提出し、国民と力を合わせて、成立に全力を尽くす決意です。消費税の税率を実際にあげるかどうかは選挙後の新しい国会の構成にかかっています。総選挙での日本共産党の議席倍増が必要です。