2012年12月3日(月)
COP18 温暖化対策、議論本格化へ
第2約束期間不参加の日本政府に批判
【ニューデリー=安川崇】カタール・ドーハで開幕した国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)は今週、閣僚級を含むハイレベル協議に入り、温暖化ガス削減の新しい国際的枠組みの構築に向けた議論が本格化します。地球温暖化は加速しており、対策が急務とする報告が相次いでいます。
豪州の表明
「今日、(温室効果ガスの)排出削減目標を提出した」。11月26日の開幕総会で、オーストラリア代表が発言しました。参加するNGOによると、会場から大きな拍手が起きました。
先進国に排出削減を義務付ける京都議定書の第2約束期間が2013年から始まります。その内容の具体化が今回の会議の主要課題の一つ。日本、カナダ、ロシアが第2約束期間不参加を表明するもと、オーストラリアの同期間参加表明は明るいニュースと受け止められています。
4度の上昇
COP18開幕に前後して国連など各機関が、気候変動の加速化を警告する報告書を相次いで発表しました。
その一つ、世界銀行の「温度を下げろ―4度暑い世界を回避しなければならない理由」は、各国が今までに示している削減目標が守られたとしても、2100年には気温が産業革命前より4度上がる可能性があると指摘しました。
その場合、▽陸地では4〜10度気温が上がり、地中海沿岸や中東、米国本土の夏の平均気温は6度以上高くなる▽海水が二酸化炭素(CO2)を吸収して酸性化し、サンゴ礁が溶け始める▽生態系の激変で生物の大規模絶滅が起きるほか、農業や水産に大被害が出る―などの例を列挙しています。
さらに各国の対策が遅れた場合は60年にもこれが現実になるとして、「『+4度の世界』に私たちが適応できるという確証はない」と述べています。
また国連環境計画の「排出量ギャップ(目標との差)報告書」は、各国の削減目標が、気温上昇を2度以内に抑えるという国際目標実現のための排出量(440億トン=CO2換算)に遠く及ばず、「80億〜130億トンのギャップがある」と指摘しました。
この不足を埋めるため、各国の目標をどう引き上げていくかもCOP18の主要議題の一つです。
海面上昇の影響を強く受ける南太平洋の島しょ国ナウルの代表は総会で「ギャップは毎年拡大している」と述べ、CO2を排出してきた先進国が率先して責任を果たすよう求めました。
日本の対応
しかし先進国の一員である日本は第2約束期間への不参加を表明しています。「20年までに1990年比で25%削減」という国際公約は残していますが、その後に福島原発事故を受けて国内で示した計画では「20年までに5〜9%削減」という低い予測を示しています。
現地で日本政府が27日に開いた記者会見では空席が目立ち、メディアは存在感の薄さを指摘しました。現地入りしているNGO気候ネットワークの伊与田昌慶研究員は「まだ遅くはない。日本は第2約束期間への数値目標提出を再検討し、25%の目標を維持して、共通の国際ルール作りに参加するべきだ」と話しています。