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2012年12月3日(月)

NHK日曜討論

小池政策委員長の発言

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 日本共産党の小池晃政策委員長は2日、NHK日曜討論に出演し、総選挙の争点について各党代表と討論しました。


消費税増税

そもそも公約違反、大不況で増税したら被災地に大打撃、税収も減る――わが党は別の道を提案している

 冒頭、消費税増税について民主党の長妻昭選挙対策本部事務局長代理が「苦渋の決断だが5%をお願いしたい」と語るなど、民自公3党は密室談合による大増税を正当化しました。

 「日本維新の会」の浅田均政調会長は、消費税を11%に上げるにもかかわらず、「消費税を地方税にと言っているので前提が違う」とごまかし、日本未来の党の森裕子副代表は「社会保障の改革を置き去りにしての増税は反対」と、条件付きの反対を示しました。小池氏は次のように述べました。

 小池 消費税増税は公約違反なんですよ。その批判に対して野田さんは、増税実施の前に国民の審判を仰ぐと言っていたわけですから、今度の選挙はその是非を問う選挙です。

 結局、大不況のもとで増税したら被災地に大打撃になるだけでなく、税収が落ちこむ。1997年に増税して消費税は5兆円増えたけれども景気が悪くなって税収全体としては14兆円減ったわけです。今上げればもっとひどいことになりますよ。そうすれば財源だって出てこない。

 “増税の前にやることがある”という主張をされているところもありますが、私たちは条件付き賛成ではありません。別の道を行こうじゃないかと提案しています。消費税増税ではなくて、まず富裕層と大企業への不公平税制を是正して、社会保障の財源をつくっていきたいと思っています。

経済政策について

内需なくして成長なし――消費税増税の中止と大企業の260兆円の内部留保を動かし経済も産業も再生

 経済対策について、民主党は「金融緩和」政策と大企業支援、自民党と公明党は大型公共事業と大企業支援を主張しました。維新も、規制改革と法人税減税など、効果がなかった従来の政策を並べました。小池氏は次の提案をしました。

 小池 内需が冷え込んでいるわけですから、真っ先にやらなければならないのは消費税増税を中止することです。

 もう一つは、大企業の内部留保は260兆円を超えているわけで、これを動かす。日本の製造業が何で衰退しているかというと、目先の利益だけを追い求めて人間を切り捨てていることにあるわけです。それが技術開発の土台も壊して、結局、いっそう経営悪化しており、悪循環に陥っています。大企業に社会的責任を果たしてもらい、市場を活性化させて、経済も産業も再生させていこう、「内需なくして成長なし」というのが私たちの提案です。

年金問題について

まず無年金・低年金の底上げ、次に最低保障年金の創設を

 年金問題について、民主は「国民会議でじっくり議論する」と民自公3党が談合で進めていくことを主張。維新は「賦課方式から積み立て方式に移行する必要がある」と述べ、年金の完全な“自己責任”化をのべました。これに対し、小池氏は、だれもが安心できる年金制度の確立を訴えました。

 小池 年金の一番の問題は、給付が削られて貧しくなっていることです。国民年金では月額平均4万9000円。厚生年金でも女性の平均は10万円ですから(老後の生活を年金に)頼れません。

 私たちは2段階での改革をいっています。まず年金削減をやめて無年金、低年金の底上げという緊急課題をやるべきです。これは大企業や富裕層にがんばってもらって財源をつくります。

 そして第2段階で、やはり最低保障年金をつくる必要があります。国連も、日本につくりなさいと勧告しているわけですから。全額国庫負担で最低保障年金をつくって、そのうえに保険料に応じて上乗せをしていくという仕組みが必要だと思います。私たちはその抜本改革の財源まで、なんでも金持ち、大企業だけとはいいません。これは国民全体で、しかし消費税ではなくて、所得税の累進課税で力に応じてみんなで負担していくという現実的、具体的提案をしているので、ぜひこれを実現したいと思います。

社会保障制度について

憲法25条の生存権の立場で充実を――好循環に進む社会保障改革を

 社会保障制度の問題では、自民党の甘利明政務調査会長が生活保護の医療扶助について、「自己負担がない」などとして削減するよう主張。民主・長妻氏も「医療費の圧縮が必要」と説明しました。みんなの党の浅尾慶一郎政調会長は社会保険料の徴収強化を求めました。

 小池 いま改革の名でやろうとしているのはぜんぶ給付の抑制ばっかりです。世代間の不公平だというけれども、子育て支援といいながら、現役世代の保険料はどんどん上がっているわけです。さらには自己責任で全部変えようという議論もある。

 維新の会は、年金を積み立て方式に切り替えてしまう、あるいは最低賃金制をやめるというが、こんな国は先進国でないですよ。

 弱肉強食ではなく、強いものが弱いものを支える、富めるものが貧しきものを支える。憲法25条の生存権を国が保障するという道で、社会保障、医療も年金も介護も充実させなければいけません。社会保障制度を支えて、保険料を払う人が元気になれば、財政だって豊かになっていく。悪循環の縮小の道ではなくて、いい循環に進んでいくような社会保障改革をやるべきだと言いたいです。

 司会の島田敏男氏が、「これから先の時代は応能負担が問われてくる」と発言。小池氏はその重要性を次のように語りました。

 小池 応能負担って大事なことなんですよ。だとすれば、やっぱり消費税はいちばん応能的ではないわけです。所得再配分というのであれば直接税、所得税を財源の中心にして、社会保障制度を改革していくべきです。

原発再稼働をめぐって

「厳格な安全基準」というが、結局「安全神話」の復活――「即時ゼロ」が一番責任ある現実的提案

 原発再稼働について、民主は「了解を得たものは稼働させる」、自民も「再開したほうが国民利益に絶対になる」と表明。維新や公明、みんなも軒並み再稼働を認める考えを示すなか、小池氏は次のように述べました。

 小池 厳格な安全基準といいますが、結局、安全神話の復活です。いまの技術では、絶対に事故が起こらない安全基準なんてありえない。しかも国際基準というが、日本は一回あんな事故を起こしたのですから、二度と事故を起こしてはいけない特別な国なのです。経済面というお話がありますが、再び、原発事故が起こったら、それこそ日本経済は壊滅します。再稼働というけれど、どこを動かせるんですか。どこにもそんな原発はありません。大飯原発だって、敷地内の断層が活断層である可能性を否定できない。疑わしきは停止するのが当然です。そのまま廃炉に向かって進んでいく、「即時原発ゼロ」が一番責任ある立場、一番現実的な提案だと思います。

核燃料再利用について

世界に学び、日本は撤退することこそ国際社会への役割――処分できない核のゴミは出さないのが大原則

 処分方法のない核燃料サイクル(再利用)について民主は「青森県の理解をえながら考える」、自民は「技術を失ってはいけない」と継続を表明。公明も「見直しを検討していく」とのべるにとどまりました。

 小池 核燃料サイクルは、プルトニウムを大量につくり、高レベル廃棄物まで生まれるわけで、世界では、撤退という流れが起こっています。高速増殖炉「もんじゅ」も六ケ所村の再処理工場も閉鎖して、核燃料サイクルから撤退すべきです。日本は唯一の被爆国なのに、核武装のシミュレーションという話も出ています。核兵器の材料にもなりうるプルトニウムをつくることをやめていくことが国際社会に対して日本が果たすべき役割です。

 核のゴミは、原子炉を1年動かすだけで1基だけで2トンのゴミが出てきます。処分できないゴミは出さないということが大原則です。その点でも、やっぱり、「即時原発ゼロ」だと思います。長妻さんはできるだけ早く(ゼロにする)といいながら、何で大間原発つくるんですか。自民党は、甘利さんが経済産業大臣のとき、わが党の議員が、大地震や津波で大変なことになるという質問主意書を出したら、大丈夫だという答弁を出しました。あまりに反省がないと思います。

 甘利氏が「(冷却用の)取水ができなくなるということだった」とごまかしたのに対して、小池氏は「送電鉄塔が倒れるなど地震津波で大変なことになるといったのに対して、大丈夫だと答えたんですよ」と批判しました。

最後に

被災地復興を最優先で。戦前の暗黒政治に戻る動きに、共産党は立ち向かう

 最後に小池氏はこう述べました。

 小池 東日本大震災の被災地は生活再建、事業の再開が遅れに遅れているわけで、最優先課題でやらなければいけません。

 憲法9条、集団的自衛権の行使、国防軍の創設などが言われていますが、いままで憲法9条があって自衛隊は外国で人命を奪っていません。この歴史を変えていいのか。戦前の暗黒政治に戻るような右へ右への動きに私たち共産党は立ち向かって、この流れを食い止めていきたい。


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