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2012年12月3日(月)

「卒原発」3年で環境整備■「安保基本法」盛り込む

未来の党が公約発表

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 日本未来の党の嘉田由紀子代表(滋賀県知事)は2日、都内のホテルで会見し、衆院選公約「未来への約束」を発表しました。原発政策では、3年で「卒原発」の環境整備をすると打ち出しました。外交については、これまで集団的自衛権の行使を可能にするために議論されてきた「安全保障基本法の制定」を盛り込みました。

 会見で嘉田氏は憲法について「いま、ここで憲法改正の議論をするタイミングではない」と述べ、改憲への含みを残しました。集団的自衛権の行使に関しては「集団的自衛権も含めた国防のような形での軍事面の強化は反対だ」と述べました。

 公約の外交部分では、環太平洋連携協定(TPP)交渉入り反対や国連平和維持活動への参加、日本版NSC(国家安全保障会議)創設を示しました。

 公約とともに、党の看板政策である「卒原発」に関しては、「カリキュラム骨子」を提示。最初の3年間を「助走期」として、発送電分離や料金値上げへの対応、使用済み核燃料を100年間の乾式貯蔵できる場所の確定などを行うとしました。会見で飯田哲也代表代行は、貯蔵場所の確定に関して、電気消費地が電力使用量に応じて使用済み核燃料を引き取り、立地地域とも調整しながら割り当てを決めていく考えを示しました。

 公約では、消費税増税法の「凍結」も明示。年間31万2000円の子ども手当支給や、税を財源とする最低保障年金を打ち出しました。

 会見後、嘉田氏はさいたま市のJR大宮駅前で結党後初の街頭演説に臨み、「直ちに大飯3、4号機(の稼働)をやめ、地元の代わりの経済をつくっていかなければならない」と訴えました。


改憲論議・消費税増税 否定せず

原発「即時ゼロ」に拒否感

 日本未来の党の政権公約で目立つのは、日米同盟への態度や沖縄の米軍基地問題、オスプレイの配備についてはまったく触れていないことです。一方で、「安全保障基本法の制定と国連平和維持活動への参加を進める」「日本版NSCを創設」と明記しました。1日には所属議員から「憲法を変え、国軍を明記する」「集団的自衛権行使を安全保障基本法で定める」などの発言が相次ぎました。

 もともと安全保障基本法は、小沢一郎元民主党代表が自由党時代に、海外での武力行使に道を開く集団的自衛権の行使を盛り込んだものです。

 嘉田由紀子代表は自民党や日本維新が憲法改悪を総選挙の争点に掲げていることについて問われ、「いまここで改憲を議論するタイミングではない」というだけで、9条改定に反対とは表明せず、「集団的自衛権の行使を含めた国防のような形での軍事面の強化には反対」と述べるにとどめました。

 看板政策の「卒原発」では、「原発稼働ゼロから遅くとも10年以内の完全廃炉、完全卒業の道筋」をつけるとしていますが、「即時ゼロ」に拒否感を示しています。関連文書の「卒原発カリキュラム」でも、「スローガン的に即時原発ゼロをいうのではなく」と強調。前提環境をつくる「助走期」と、エネルギーシフトへの「離陸期」の“2段階”を進めるとしました。

 そのうえで関連文書で、福井県の大飯原発について「即時に稼働停止する(他の原発再稼働も認めない)」としました。

 しかし、「再稼働」を認めないというならなぜ「即時ゼロ」を拒否するのか―。再稼働を許さず、停止のまま廃炉というプロセスが「即時ゼロ」です。これに段階論は必要ありません。

 しかも、2日のテレビ討論では嘉田氏は、日本共産党の志位和夫委員長から「『即時ゼロ』に踏み切ったらどうか」と問われても答えませんでした。逆に「危険度をランク付けしながら、安全性の担保がとれたところに…」などと言葉をにごすなど、あいまいな態度をとりました。

 消費税についても嘉田氏は「『国民の生活』は消費税増税反対(廃止)だったが、(『未来』は)凍結とした。消費税増税には反対しきれない。財源が足りない」と明言。「本当に国民が納得できるような形での増税を考える」としました。民主党政権が財源論で破綻したのを、結局、消費税増税で補うという方向は、野田政権や自民党と変わらないものです。

 (中祖寅一)


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