2012年12月2日(日)
最賃制廃止 維新の暴論
これでは奴隷制だ 世界では水準引き上げへ
「これじゃ奴隷制度になる」「喜ぶのは企業だけだ」―「日本維新の会」が29日、衆院選公約で掲げた「最低賃金制の廃止」にツイッターなどで批判が集中しています。石原慎太郎代表は30日、「大阪の連中が考えたんですよ」「俺は知らない」などとうそぶきましたが、そんな話は通用するはずがありません。
(藤原直)
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最賃制度とは、最賃法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。生存権を保障した憲法25条にもとづき不当な低賃金から労働者を守る極めて重要な仕組みです。
ところが、日本の最賃は欧米主要国に比べて最低の水準(全国平均時給749円)で、フルタイムで働いても月12万円程度。「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営む」(最賃法)水準からはかけ離れています。
時給1000円以上こそ
日本共産党は、働く貧困層をなくして人間らしい生活をつくり、国民の所得増で内需を活発にしてデフレ不況から脱却するためにも、「時給1000円以上」へ引き上げ、全国一律の制度に改革するよう求めています。
橋下徹代表代行は「うちの党しか言っていない」と誇っていますが、世界各国では水準を引き上げようと取り組んでいるのに、廃止せよと主張するとは、時代逆行も甚だしいものです。
橋下氏は30日、大阪市役所で「企業に最低賃金を課すと、それを出せない企業が本当だったら2、3人雇えるのに1人しか雇えない」などと歯止めのない賃下げ論を展開。一方で「賃金が低すぎて生活できない部分は負の所得税的な考え方(国による給付)で公が生活を保障する」と語りました。
しかし、最低生活保障といっても、橋下氏は「今の段階でどんな制度かなんて出せるわけがない」と開き直りました。「最低水準といっても水準は下がる」「今の生活保護の支給水準は高すぎる」とも述べています。まともな制度にならないことは明らかです。
解雇規制の緩和も
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しかも維新は、電機大企業の13万人「首切り」など大リストラが問題になっているときに、解雇規制の「緩和」とセットで最賃の廃止を掲げています。
最低賃金引き上げに反対し、解雇規制の緩和を求めてきたのは財界・大企業です。「国際競争力が低下する」といって安上がりで使い捨て自由の労働者を求めてきました。「労働市場の流動化」を掲げる維新の主張は、財界の要求にこたえるものです。
橋下氏は記者会見で「どこの政党も言いきれない」もう一つの政策として、年金支給開始年齢引き上げや「保険料の負担と給付水準の見直し」と称して社会保障の切り捨てを強調しました。公約では財界が求める消費税の大増税(11%)と「企業減税」も明記しています。喜ぶのは財界だけで、国民にとっては、デフレ不況も貧困も格差も底なしです。