2012年12月1日(土)
記者クラブ党首討論
志位委員長の発言
30日に開かれた日本記者クラブ主催の党首討論で日本共産党の志位和夫委員長が発言した内容は次の通りです。
あらゆる分野で「提案し、行動する。」日本共産党の躍進を
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最初に各党代表が選挙で一番訴えたいことをフリップで示し、発言しました。志位氏は「提案し、行動する。」を掲げて次のように述べました。
志位 政治も経済も閉塞(へいそく)を深めるもとで、共産党はあらゆる分野で改革ビジョンを提案し、その実現のために行動してきました。
「経済提言」を発表し、消費税増税に反対するとともに、消費税に頼らなくても社会保障を充実し、財政危機を打開する別の道があるということを詳しく明らかにしてきました。
「即時原発ゼロ」提言を発表し、「即時ゼロ」は可能だということを示してきました。
「外交ビジョン」を発表して、日米安保条約をなくすとともに、憲法9条が生きる平和日本の展望を示してきました。
「尖閣提言」を発表して、この問題を冷静な外交的交渉によって解決する道を示し、日本政府ならびに中国政府に問題を提起してきました。
これらすべてで、私たちが提案できる根本には、「アメリカいいなり」、「財界中心」という古い政治のゆがみを大本から断ち切る改革の立場があります。「提案し、行動する。」日本共産党、どうか躍進させてください。よろしくお願いします。
消費税増税の是非を正面から問う選挙に
次に、党首間で質問するコーナーに移り、志位氏は野田佳彦首相に次のように質問しました。
志位 私は、野田さんに質問します。
消費税増税の是非は、総選挙の大争点です。三つの角度から問題点をただしたいと思います。
第一に、そもそも消費税増税法案の強行は公約違反だと指摘されて、あなたは「増税を実施する前に、その是非について国民の審判を仰ぐ」との弁明を繰り返しました。ならば、その言葉のとおり、この総選挙で消費税増税を実施していいのかどうか、そのものの是非を正面から国民に問うことはあなたの責任ではありませんか。にもかかわらず、きょうの発言を聞いても、あなたにその姿勢がまったくみられないのはどういうわけか。
第二に、消費税増税が日本経済に与える影響をどう認識しておられるのか。この大不況のもとで大増税を強行すれば、日本経済の底が抜けてしまいます。そうなれば、増税をしても税収が落ち込む結果になります。あなたはそういう認識をもっておられますか。
第三に、なぜ財源といえば、弱いものいじめの消費税だけに頼るのか。富裕層への減税ばらまきの結果、所得1億円を超えますと、所得税の負担率は逆に下がる。大企業優遇税制のために、法人税の実質負担率は中小企業よりも大企業が低くなっております。こうした不公平税制を抜本的に正すことこそ、真っ先にやるべきことではありませんか。
以上3点について、明確にお答えください。
野田首相は質問には答えられず、「社会保障改革を進めるうえで安定財源は必要だと国民に訴え、理解をいただきたい」「消費税の引き上げができるような環境整備に全力を尽くしたい」と、増税に執念を見せました。さらに「不公平税制に手をつけることは、税制の抜本改革のなかで、位置づけている」と語りました。
国民の中で新しい政治を求めるたたかいのかつてない高揚が
記者クラブの企画委員からの質問に答えるコーナーに移り、共産、社民両党に対し、「今回の選挙、リベラル勢力とか左派勢力が衰退をしているといわれているが、そのへんの反省についてどうお考えなのか」と質問しました。
志位 「衰退」といわれましたが、それは現状認識がちがいますね。
私は、いま国民の中で新しい政治を求めるかつてない歴史的なたたかいの高揚があると思うんです。
たとえばTPP(環太平洋連携協定)の問題では、私たちはJA全中のみなさんとも協力して、あるいは医師会のみなさんとも協力して、従来の保守のみなさんとも協力して大きな輪をつくってまいりました。
それから「原発ゼロ」をめざすたたかい、毎週金曜日の官邸前の行動、私もだいたい毎週参加してまいりましたけれども、数万人という方が毎週集まる。自発的にああいう行動が起こる。そして私たちとずっと共同の輪がひろがる、かつてないことが起こっていると思います。
それから、沖縄に行きましたら、島ぐるみで10万人のオスプレイ配備反対の集会が行われ、私も参加しましたが、シンボルカラーは赤でしたよ。“オスプレイにレッドカードを”ということで島ぐるみの運動になっている。
ですから私は、いま国民の中に新しい政治を求める新しい流れが起こっている(と考えています)。その流れとしっかり共同して、今度の選挙では、共同する流れが日本共産党の躍進にもつながっていくような努力をしていきたいと思っております。
消費税増税中止法案など、新しい国会では「一点共闘」で政治を動かしていく
各党に「政策、理念が近い政党」はどこかをフリップで示すよう求められました。志位氏は「社会民主党、一点共闘はどの党でも」と書きました。
志位 私は、社民党をあげたのですが、これは憲法の集会、5月3日に毎年やっていますが、土井(たか子)さんの時代からご一緒して9条を守ろうとやってきました。
それからいま、沖縄が島ぐるみでオスプレイ配備反対、普天間基地の閉鎖・撤去(を求める)ということになっていますので、今度の選挙では、共産党は全小選挙区で立候補する方針ですが、唯一、沖縄2区については候補者を立てずに「自主投票」と、そして社民党さんも沖縄1区については候補者を立てずに「自主投票」ということでやっています。
同時に、私たちは、「一点共闘ではどの党とも」とありますが、新しい国会になりましたら、たとえば消費税増税の中止法案を出すつもりです。これを成立させようと思ったら、立場がいろいろ違っても、その一点で協力する政党とは協力してまいります。
TPPの問題、原発ゼロの問題、あるいはオスプレイの問題、さまざまな問題で「一点共闘」で政治を動かしていくということは、大いにこれまでもやってきましたし、今後もやっていくという立場でがんばりたいと思っています。
改憲、侵略戦争美化―反戦平和の党として、逆流とは断固たたかう
最後に、発言で言い残したことを各党が発言しました。志位氏は、憲法や歴史問題で暴言が相次いだことを念頭に次のように述べました。
志位 今日の討論全体を聞いていまして、“憲法を変えるのは当たり前だ”と、あるいは過去の侵略戦争について、これを事実上肯定・美化するという動きが語られたということはたいへん危険な動きだと私は思って聞きました。
たとえば「憲法を変える」といったときにどこを変えるのか。9条を変えようという。9条2項を変えようという。あるいは集団的自衛権の行使をしようという。これをやったらどういうことになるのか。
結局、戦後、日本の自衛隊というのは一人の外国人も殺していません。一人の戦死者も出していない。これはやはり9条があって、海外での武力行使ができないという大きな歯止めになって働いていたわけです。
これを取り外してしまったら、日本という国が「殺し、殺される」という国に変わってしまう、これでいいのだろうかと。
そして、侵略戦争の問題、この過去の問題について、もし反省を欠くような行動をしたら日本は世界でもアジアでも生きていく道を失います。やはりそういう逆流とは日本共産党は断固としてたたかい抜く。
90年がんばってきた党です。反戦平和、そして民主主義のためにがんばってきた、そういう党として逆流とは断固としてたたかいぬくという決意を申し上げたいと思います。