2012年11月26日(月)
主張
後たたぬ米兵犯罪
基地の撤去はいよいよ急務
米軍基地が集中する沖縄県内で、米兵が立て続けに犯罪を起こし、県民の怒りが沸騰しています。那覇市議会は「沖縄は米軍の占領下だという意識が根底にある」と厳しく批判する意見書・決議を全会一致で可決しました。沖縄県議会や中部市町村会も米側に抗議しています。米兵犯罪は米軍基地がある神奈川県や長崎県でも起きています。基地あるがゆえの犯罪を根絶するために、米軍基地を撤去し、アメリカに基地を提供している日米安保条約を廃棄することがいよいよ急務です。
占領者意識むきだしに
米海兵隊に所属する将校が18日、那覇市内で飲酒し、ビル内の住宅に侵入して現行犯逮捕された事件はひどすぎます。事件をおこしたのはキャンプ瑞慶覧(ずけらん)所属で、普天間基地に居住している海兵隊の中尉です。逮捕前日の午後8時半から翌朝6時まで飲み明かしていたといいますから、外出禁止令はまったく守られていません。
海兵隊の中尉といえば部隊要員を指導監督する将校です。その幹部が外出禁止令に反して一晩中飲み明かし、住居侵入事件をおこしたのです。夜間外出禁止令や綱紀粛正では犯罪を防止できないことが浮き彫りになりました。
米軍は10月に2人の米兵が起こした女性暴行事件を機に、午後11時から午前5時までの夜間外出禁止令を日本にいるすべての米兵を対象に決めましたが、まったく守られていません。今月2日にも嘉手納基地所属の空軍兵士が、夜間外出禁止令がでているなか、読谷(よみたん)村で飲酒し、中学生を殴打する事件をおこしたばかりです。
米軍が犯人の身柄をおさえているため日本側は逮捕もできず、書類送検しただけです。女性暴行事件後、米軍がとった措置を「今までにない異例のもの」と賛美し、県民の怒りをおさえこもうとした日本政府の責任は重大です。
野田佳彦首相が、那覇市での事件発生後、20日の日米首脳会談でオバマ米大統領に直接抗議もせず、綱紀粛正と再発防止の要請ですませたのは、県民の怒りに応える態度ではありません。
基地がある限り犯罪をなくすことができないのは明らかです。全国面積の0・6%しかないのに在日米軍基地面積の74%と在日米軍人数の70・4%、約2万5000人をおしつけられている沖縄は深刻です。異常な犯罪発生数です。22日にはうるま市でも米兵が逮捕されました。
那覇市議会の決議が「占領者意識」を批判するように、米軍がアジア太平洋戦争末期の沖縄戦で、多くの血を流して沖縄を奪い取ったことを「教育」しているのは重大です。沖縄では何をやってもかまわないという占領者意識を助長しているといわれても、弁解の余地はありません。
安保・基地なくす党を
基地あるがゆえの米兵犯罪をなくすには、基地を全面的に撤去する以外に道はありません。沖縄県議会の決議は「県民からは米軍基地の全面撤去を求める声も出ている」と指摘しました。基地撤去はいまや県民の切実な声です。
米軍基地をなくすには日米安保条約そのものを廃棄するのがもっとも近道です。米軍基地の撤去を求めるとともに、安保廃棄の旗をかかげる唯一の党、日本共産党の立場はその願いに応えるものです。