2012年11月22日(木)
夫は退職強要された シャープ 何度も面談 妻証言
昼休みにメール… 「まともな仕事がないよだって」
違法行為正すのは政治の責任
9日まで約2000人の「希望退職」を募っていたシャープ。40代の男性社員はその数日前、上司から6回目の面談を受け、改めて「辞めません」と答えました。その妻が寡黙な夫に代わり、「これは退職強要です」と証言しました。
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10月初め、昼休み中の夫からメールが届きました。「部長さんに呼ばれて肩トントン(戦力外通告)されちゃったよ。どないしょ」。なぜ夫がと驚き、返信できませんでした。後日、その面談は前日にあり、丸1日悩んでメールを送ってきたと知りました。
夫は高卒後に入社し、2交代の製造現場で働き続けて約30年。会社に盾突くこともなく、単身赴任にも応じました。
早期退職の意思が確認される2回目の面談の日、夫は帰宅すると、「『辞めません』と言ってきたぞ」と報告しました。これで面談は終わる、と思っていました。
しかし、10月末に3回目の面談があり、「やっぱり辞めなあかんみたい」と弱気になったような夫のメール。それでも、募集直前の4回目の面談で「辞めません」と答え、今度こそ「もう面談はないだろう」と安心していました。
しかし、募集期間に入っても、面談は2回、連続しました。上司に「まともな仕事はない」などと脅されもしました。
同社は1日、2年連続の巨額赤字との見通しを発表。これが応募を促進させたようで、募集期限は5日間、前倒しされました。
賃金は10月から7%のカット。夫は、昼だけの勤務にされて深夜などの諸手当もなくなり、手取りは約15万円(生命保険の天引き後)に半減しました。一時金は3分の1に激減し、自宅のローン返済に足りません。
厳しい生活まで強いられ、夫婦で迷いました。「早期退職に応じて(退職金で)ローンを完済する。次の仕事が見つからなくても2年間は何とかなる」と見積もる夫。妻も「2年間は今より楽になれる。でも、その先がない」と悩みました。
長男は自閉症です。介助が必要で、風呂は夫が毎日、入れています。長男の就職先はまだ決まっていません。
最初の面談の後、妻は「耐えられず、体を壊すようなら早期退職に応じてもいいよ」と心配しました。夫は「わかった。大丈夫」と答えました。
以降、夫の食事の量を観察し、眠れているかどうかは、いびきを聞いて点検。帰宅時間も確認していました。
自閉症の長男は変化に敏感なため、「私が落ち込むことはできません」。引き続き、退職に追い込む異職種や遠隔地への配転なども予想され、安心はできませんと話しています。
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電機・情報産業の大リストラを国会で取りあげて、「違法行為を政治の責任でただせ」と要求しているのが日本共産党です。
志位和夫委員長は13日の衆院予算委員会で、電機の職場で繰り返し強要されている個人面談について、1980年7月の最高裁判例にてらしても違法な退職強要だと指摘しました。判例はこうのべています。
「ことさらに多数回、長期にわたる退職勧奨は、いたずらに被勧奨者の不安感を増し、不当に退職を強要する結果となる可能性が高く、退職勧奨は、被勧奨者の家庭の状況、名誉感情等に十分配慮すべきであり、勧奨者の数、優遇措置の有無等を総合的に勘案し、全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であった場合には、当該退職勧奨行為は違法な権利侵害となる」
志位氏はまた、「人減らしのリストラでは、日本の電機・情報産業の『復活』は決してあり得ない」として次のようにのべました。
「日本の電機・情報産業は、深刻な衰退の危機にあります。…なぜここまで衰退したのか。私は、その大きな原因は、ごく目先の利益だけを追い求め、企業にとって命である人間をどんどん切り捨ててきたことにあるのではないかと思います。NECは、株主への配当を復活させるために、1万人の人間を切り捨てると言っています。こういうやり方に未来はあるのか。こういう経営姿勢こそが、電機・情報産業の命である創造的な技術開発の力を奪っていったのではないでしょうか」