「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年11月19日(月)

ゆうPRESS

自分のスタイル追求

つかんだ世界一

フリースタイルフットボール世界大会V 徳田耕太郎さん

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 「見せるサッカー」と呼ばれ、リフティングの技術を競うフリースタイルフットボール。一人の日本人が世界の頂点をきわめました。帝京大学3年生の徳田耕太郎選手(21)です。海外でのニックネームは“トクラ”。「自分だけのスタイルをつくる楽しさが魅力」と、人生の青空に華麗なエアムーブ(空中技)を描きます。(勝又秀人)


“ほかと違うねと言われたい”

写真

 古代ローマ時代の劇場を囲んだ約1万5000人の観客から、「トクラ!」、「ブラボー!」の歓声がやみませんでした。

 イタリアで9月下旬に行われた第3回世界大会「ストリート・スタイル」で、日本人として初優勝をとげました。53カ国から54人が集結。計約5000人が参加した各地の予選を勝ち抜いたテクニシャンたちでした。

 決勝まで全10戦で圧勝。審査員をつとめたサッカー・イタリア代表元主将ファビオ・カンナバロさんの祝福も受けました。

 「自分のパフォーマンスができただけでも満足でしたけど、優勝もできて最高でした」

 前評判をくつがえす優勝でした。

○独自技で勝負

写真

 手足が長く、滞空時間が長い欧米選手に比べて、日本人はエアムーブの得点が伸びません。そこで1回戦から、独自技「トクラ・クラッチ」を披露しました。球を蹴り上げてバック宙し、膝ではさんで着地する大技です。

 ところが大会本番。外国の3選手が、新たにこの技を取り入れてきました。インターネットの動画で一気に広まるのが、この競技の宿命です。

 それでも、まったく動じませんでした。

 「自分は技の成功率がほぼ百パーセントだった。その分、ほかの技と見せ方の練習に時間をさいたから、本番でミスが少なかった」。余裕がにじみます。

 「世界一」と胸を張る練習が、自信をもたらしています。

 近所のスタジオや大学の構内で、3時間みっちり汗を流します。それではあき足らず、終電時間を過ぎた無人の駅前広場でも、練習を積み重ねます。

 声援も拍手もなく、乏しい照明の下。頭や肩、足の先や裏で軽やかに球を弾ませます。座って足先でポンポン。背中を地面につけて回転しながら、球をくるくる。何十回、何百回と反復します。本番さながらに、技と技のつなぎや全体の流れにも完璧を求めます。

 「練習をすればするだけ、(本番の)90秒の演技が濃くなっていきます。何十時間、何日もかけて一つでもコツを見つけたら、『やってよかった』という心境になれるんです」

 孤独な夜間練習の繰り返し。その姿が、故郷の愛媛県大洲市で語り草になっています。

○自販機の光で

 部活でサッカーをしながら、フリースタイルフットボールにのめり込んだ中学時代。夜の練習場所を探し求め、行き着いたのが自販機の前でした。明かりが目線に近く、光が足元まで届きました。「ここはいいやと味をしめて、5、6年蹴りつづけました」。

 当時の光景を知る近所の住民がこの秋、自販機横の建物に大きな垂れ幕を掲げました。

 タイトルは「ここから世界へ」。少年が黙々と夢を踏み固めた、地域の名所です。

 人のまねをするよりも、新技で自分だけのスタイルを―。そう心に決めています。フリースタイルフットボールを始めたのも、「人と違うことがしたい。チーム競技のサッカーと違って、個人でスタイルを確立できる」という思いから。

 トクラ・クラッチを超える大技を着々と開発中。早ければ来年にもお披露目できます。

 「満足すると、すぐに超えられちゃう。やっぱり『ほかと違うね』と言われたい。だからまた、世界で一番練習しないと」

 オンリーワンの頂へ。この先も、ボールと楽しく格闘します。


 とくだ・こうたろう 1991年7月21日、愛媛県大洲市生まれ。13歳のときに雑誌の影響でフリースタイルフットボールを始める。2009年、17歳でストリート・スタイル日本予選に出場し、史上最年少で優勝。10年、大学1年生でのぞんだ第2回世界大会(南アフリカ)は予選敗退。12年の第3回世界大会で優勝。世界では「トクラ」の競技ネームで知られる。169センチ、52キロ


図

フリースタイルフットボール

 サッカーの基本であるリフティングを応用したスポーツ。音楽に合わせて、ボールを操る技術や芸術性を競います。表現力、創造性、コントロールの3項目で審査します。

 世界大会のルールは制限時間の3分間で、2人の選手が30秒ずつ交互に技を競い合います。エアムーブ(空中技)系とシッティング(座った状態での操作)系の技があります。

 日本では約10年前から競技者が増え、2007年に日本協会が設立されました。

(1)座った姿勢でリフティング

(2)ボールを蹴り上げて、腰を上げる

(3)落ちてきたボールをキャッチ

(4)右手を支点に腰を浮かせて

(5)ボールを上にポン!落ちたボールで再びリフティング


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって