2012年11月17日(土)
ナチス被害 補償拡大
独政府 旧ソ連・東欧居住者に
「歴史的責任果たす」
ドイツのショイブレ財務相は15日、ナチス・ドイツ時代のホロコースト(ユダヤ人大虐殺)被害者救済のために、新たに約8万人に1人当たり2556ユーロ(約26万3000円)を補償するとした合意文書をユダヤ人団体との間で締結し、署名しました。
ドイツ政府は、1952年、イスラエルとユダヤ人団体との間で、ナチスの戦争犯罪に対する補償を定めた協定を締結し、これまで約37万人以上のユダヤ人被害者に補償金を支払ってきました。またシンティ・ロマ(ジプシー)などそれ以外の被害者や強制労働への補償、不妊手術被害者への補償などを実施してきました。
ユダヤ人被害者への補償は92年に、旧ソ連・東欧に住んでいる人にも広げましたが、今回はこれまで政治的な混乱などが原因で補償を受けられなかった人を対象にします。強制収容所やゲットー(ユダヤ人強制居住地区)に3カ月以上入れられた旧ソ連・東欧居住者に年金を月額300ユーロ(約3万円)支給、高齢になった世界各地の被害者約10万人に在宅看護サービスを提供することも盛り込んでいます。
ショイブレ氏は、ベルリンのラジオ局に「いかなる支援も被害者の苦しみに比べれば見劣りするが、ドイツはホロコーストの犠牲者への歴史的責任を果たす」と強調。「ホロコーストの犯罪は、われわれがまだすべての犠牲者の名前や補償を受ける権利のある人の名を知ることができないほど大きい。(補償などの支援を)その規模に合わせていかなければならない」と語りました。(片岡正明)