2012年11月8日(木)
大飯原発調査
活断層否定なかった
渡辺東洋大教授 「スピード判断を」
7日に再度開かれた原子力規制委員会の関西電力大飯原発敷地内の破砕帯調査団の評価会合では、活断層かどうかの結論が先送りされました。しかし、活断層の可能性を指摘した調査メンバーの渡辺満久東洋大学教授は、「4日の議論では、活断層の可能性を否定した人はいない」として、ただちに大飯原発3、4号機の運転停止を求めました。
評価委会合では、原発北側のトレンチ(溝)で見つかった地層のずれが活断層かどうか、問題になっているため、規制委の島崎邦彦委員長代理は、関電に対して、原発の南側に百数十メートル規模のトレンチを掘ってもらって「決着をつけたい」と述べました。
渡辺教授は「大飯原発が稼働している状況で、活断層の面から危険性があるのか、ないのかをスピード感を持って判断するのが、この委員会の任務と思っている」と指摘。「グレー(灰色)は認めないのか。シロかクロか、決着つけるのか」と島崎氏にただすと、島崎氏は「シロ、クロはやや情緒的。5人の委員が一致して結論を出すのが望ましい」としました。
渡辺氏がさらに「(原発を)動かしたままで調査が可能か」と問うと、島崎氏は「動かす、動かさないはここの議題ではない」と返答を避けました。
また、この日の会合でもう一つ焦点になったのは、これまで関電が敷地内を南北に走るF―6破砕帯としてきたものが実際にはどう連続しているのかわからないといった疑問が複数の専門家から出されたことです。旧経済産業省原子力安全・保安院の指示で行われた調査で、関電がこれまでF―6破砕帯としていた場所に破砕帯が見つからないためで、関電まかせの調査の不十分さが浮き彫りになった形です。
規制委は今後、大飯原発以外に、日本原電敦賀原発(福井県敦賀市)、東北電力東通原発(青森県東通村)、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)、関電美浜原発(福井県美浜町)、日本原子力研究開発機構「もんじゅ」(福井県敦賀市)の5カ所の現地調査を予定しています。電力会社まかせの調査にもとづいて、調査チームがいつまでに、どう判断するのか。今回の結論先送りは、規制委の調査のあり方に課題を投げかけています。