2012年11月7日(水)
オスプレイ低空訓練情報
米軍報告書111自治体に配布するも
防衛省提供 3県7市町のみ
積極的姿勢なし 自治体“情報ない”の声
米海兵隊機MV22オスプレイの普天間基地(沖縄県宜野湾市)への配備に伴い米軍が作成した環境審査報告書(環境レビュー)について、防衛省は沖縄以外の本土の自治体にも情報提供として配布しています。これまで配布した自治体数は111(1日現在)にのぼり、このうち防衛省が自ら提供したのは10自治体のみで、残りは自治体側の求めに応じて配布されたものであることが分かりました。本紙取材に同省が明らかにしました。
10自治体は、静岡、広島、山口の3県と、御殿場市、大竹市、岩国市、周防大島町など、いずれも3県内の7市町です。「環境レビュー」のなかでオスプレイの本土での展開先として例示された岩国基地(山口県)とキャンプ富士(静岡県)周辺の自治体に限られます。
一方、国に情報提供を求めた自治体は、北海道から鹿児島県までの35都道府県66市町村。普天間基地へのオスプレイ配備後も増え続けており、訓練への全国的な不安の高まりを示しています。
米軍は6月、「環境レビュー」で東北地方から南西諸島におよぶ6本の低空飛行訓練ルートの位置を初めて公表しました。本紙の調べによれば21県の138市町村を通過しており、提供を求めたのも多くはルート周辺の自治体です。
森本敏防衛相は2日の全国知事会議で、本土での低空飛行訓練が今月から始まると報告。しかし、防衛省は「ルートの詳細は承知していない。今後とも求めに応じて説明していく」としており、すすんで自治体への説明を実施する姿勢はありません。
低空飛行訓練ルート下の自治体担当者からは「報告書が郵送で送られてきただけ」(群馬県みなかみ町)、「国からはなんの情報提供もない」(徳島県海陽町)などの声があがっています。
同訓練の環境審査にあたって、米国では地元住民や関係当局への説明や意見公募が国内法に沿って実施されています。日本では審査に関する基礎情報すらいまだにルート下の全自治体に行き渡っていない実態が浮き彫りになりました。