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2012年11月7日(水)

主張

原発と活断層

疑いある以上、直ちに停止を

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 国内で唯一運転している関西電力大飯原発(福井県)の敷地内にある断層(破砕帯)について、原子力規制委員会は、破砕帯が地震を引き起こす活断層の可能性もあるが断定はできないとして7日にあらためて委員会を開きます。

 活断層かどうかの判定には時間がかかるとの見方もありますが、重要なのは活断層の疑いが否定できない破砕帯が、現に運転中の原発の重要施設の下にあることです。活断層が動いて地震が起き重大な被害を及ぼす事態を避けるには、運転は直ちに停止し、必要な調査はそのうえで行うべきです。

活断層上に建設できない

 現在の原発の耐震基準でも、原発の重要施設は活断層の上につくることはできません。万一活断層が動いて地震が起きれば、原発が重大な被害を受け、大きな事故が発生する恐れがあるからです。

 大飯原発で問題になっているのは敷地を横切る「F―6」と呼ばれる破砕帯で、1、2号機と3、4号機の間を走り、その上には非常冷却用の海水を3、4号機に送る配管が通っています。破砕帯が活断層なら、大飯原発は運転を続けるのはもちろん、建設自体が許されなかったことになります。

 政府と関電は破砕帯を活断層ではないと決め付けて建設を強行しました。東日本大震災で東京電力福島原発などが被害を受け、これまで活断層とは見られてこなかった断層などについても見直され、専門家が大飯原発の破砕帯は活断層の可能性があると指摘しました。同じ福井県内にある日本原電敦賀や関電美浜、北陸電力志賀(石川県)、東北電力東通(青森県)などでも敷地内や周辺での活断層の存在が問題になっています。

 原子力規制委員会の指示を受け再調査した関電は10月末、「F―6」破砕帯は活断層とは確認できないという中間報告を発表しました。これを受けた現地調査では、耐震基準で活断層とされる12万〜13万年前以降に動いたずれを新たに確認しました。専門家からは、「敷地内に活断層があるのはまちがいない。F―6以外にもある」などの意見が出る一方、地すべりのあとという見方を支持する意見もあり、結論は出ませんでした。

 しかし、新たに見つかったずれが12万〜13万年前以降に動いた可能性では一致しています。活断層ではないかとの疑いは明らかです。活断層の定義そのものももっと長い期間で検討すべきだとの意見も出ています。活断層の疑いがある以上、運転は直ちに停止すべきです。活断層かどうかの検討に時間を費やすだけでは、国民の安全を守る責任は果たせません。

再稼働すべきでなかった

 もともと大飯原発3、4号機が国内の原発で唯一運転されているのは、関電管内での夏場の「電力不足」を口実に、政府がやみくもに再稼働を認めたためです。実際には原発を運転しなくても電力は足りていたことが明らかになり、しかも夏場も過ぎて、運転を続ける根拠は失われています。

 世界有数の地震国・日本での原発の危険性は明らかです。活断層の疑いが明らかな原発だけでなく、東海地震の震源域の真上に建設された中部電力浜岡原発(静岡県)も危険です。福島原発の悲惨な事故を踏まえれば、大飯原発の運転中止だけでなく、原発撤退の決断こそ政府は急ぐべきです。


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