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2012年11月6日(火)

宮城・気仙沼 防潮堤計画

地元意見 反映させたい

市民有志が勉強会13回

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 “津波から命と財産を守るため”と東日本大震災の被災地沿岸部で国や県が進める新たな防潮堤整備計画。しかし、それは将来にわたり、そこに住む住民の生活や自然環境、景観に影響を与える問題でもあります。この問題に“自ら学び、納得した結論を出したい”と自主的な勉強会を繰り返し開いてきた住民グループがあります。(釘丸晶)


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(写真)湾をぐるりと取り囲む形で堤防の建設が計画されている鮪立漁港

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(写真)約200人が参加した市長(左端)との意見交換会=10月18日、宮城県気仙沼市役所

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(写真)本吉町の大谷海岸には仮堤防の向こうに計画される堤防高9・8メートルを示す表示板が設置されています

 最大で標高14・7メートルの防潮堤が計画されている宮城県気仙沼市。市民有志が8月に結成した「防潮堤を勉強する会」は、2カ月余りの間に13回の勉強会を開催。「勉強する会」が発足したのは、気仙沼市が県とともにおこなった防潮堤整備計画についての説明会に多くの住民が戸惑いを感じたからです。

 とりわけ問題になっているのは、防潮堤の高さです。従来の数倍という場所もあります。県や市は説明会で、「位置や形状については住民の意見を聞きながら調整するが、高さや建設自体は既に決まったこと」との態度を取り続けました。

■県議会議決

 「勉強する会」は、最終回となった10月18日、菅原茂気仙沼市長を招き、直接質問する意見交換会を開催しました。

 “高さも含めて住民の意見を防潮堤計画に反映させる必要があるのではないか”と住民たちは市長に問いました。市長は、「高さは安全度そのもの。話し合いや相談になじむものではない」「変更する合理的な理由は今のところない」と従来の姿勢を崩しませんでした。

 市長以上に硬直的な姿勢を取り続けているのが村井嘉浩宮城県知事です。9月議会で日本共産党の三浦一敏県議が、県が決めた防潮堤の設計高に固執する知事の姿勢を改めるべきだと迫りました。

 県議会では、「海岸防潮堤は、地域住民との合意をもとに建設されるべきもの」「地域の地形や地勢、市街地・漁村などの背後地の状況によって、形状、位置及び高さなどを決めるべきもの」として、住民合意の尊重を求める決議を全会一致で可決しました。

■要望書提出

 今回の計画に、住民たちがまとまって要望をしている地域もあります。

 気仙沼市内では、唐桑半島の舞根(もうね)や大島の亀山の住民が計画の撤回や原形復旧での整備を求める要望書を行政に提出しました。標高9・8メートルの防潮堤が計画される同市本吉町大谷地区でも計画の停止を求める要請書を住民の署名とともに市に提出する予定です。

 勉強会発起人の一人で事務局の菅原昭彦さんは「これから各浜での説明会が始まります。勉強会で得た知識や専門家とのつながりを各浜・地域での合意形成に生かし、納得した結論が得られるように会としても支援していきたい」と話しています。


防潮堤整備計画の発端は

 新たな防潮堤整備計画の発端は、東日本大震災をうけて昨年6月に国の中央防災会議の専門調査会が発表した今後の津波防災対策の基本的考え方です。これを受け、昨年の9月から10月にかけて宮城、岩手、福島の被災3県で海岸堤防の高さが決められました。


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