2012年11月1日(木)
きょうの潮流
昨日付で「ちんぷんかん」について書いたばかりです。しかし、世の中に「ちんぷんかん」な出来事のなんと多いことか▼昨日の本紙1面の見出しに、目を疑った人もいるでしょう。「流用、原発輸出調査にまで 復興予算から5億円」。震災からの復興のため、原発の輸出先のベトナムで地質などを調べる―。ちんぷんかんぷんです▼政府が自分で調べるわけではありません。原発会社の日本原子力発電に、調査を頼んでいます。政府は説明します。原発を輸出すれば、原発をつくる会社や電力会社、協力企業に経済効果がおよぶ、と▼ひいては被災地の企業にもおよぶといいますが、逆立ちしています。一方で政府は、被災者の医療・介護の負担を軽くする計らいまで打ち切る。原発ゼロを求め、原発事故の被害者がもう出ない世界になるよう願う、福島の人々を悲しませる輸出。“被災地は輸出でもうける大企業のおこぼれにあずかればよい”と、いわんばかりの政府…▼調査にお金を使うなら、調べる事柄はほかにたくさんあります。東日本大震災をきっかけに体調を崩して亡くなった2303人のうち、福島県の人が約半数の1121人。9月末までの震災関連死です。なぜ福島できわだって多いのか、調べてほしい▼昨日、「珍粉漢(ちんぷんかん)」と書きましたが、正しくは「珍紛漢」でした。「珍しい粉をまぶして真相を隠す、責任逃れの『珍粉漢』」も、「珍しい紛(まが)い物で真相を隠す、…『珍紛漢』」に直します。政府の復興予算も、紛い物です。