2012年10月31日(水)
2012 国会はいま
特例公債法案 民自公の責任問われる
臨時国会では、赤字国債発行のための特例公債法案が焦点の一つとなっています。野田佳彦首相は所信表明演説で、「このままでは国民生活にも重大な支障が生じ、経済再生の足を引っ張りかねません」とのべ、早期成立を求めました。
特例公債法案は、国民には負担増を押し付けながら富裕層や大企業を優遇する今年度予算と一体のものです。
今年度予算は、国民に深刻な打撃を与え、経済も財政も破壊する消費税大増税を前提としています。年金支給額や子ども手当の削減など社会保障を切り捨て、2015年までに約20兆円もの負担を国民に押し付けようとしています。
一方で富裕層や大企業には、法人税を減税し、証券優遇税制を延長するなど、減税の大盤振る舞いです。八ツ場ダム(群馬県)や東京外環道路など大型公共事業を復活させ、税金の無駄遣いを進めるものです。
このような予算を支えるために赤字国債を発行するなど到底認められないものです。
特例公債法案が成立していないもとで、地方財政や国民生活に影響が出ないように手だてを講じる責任は政府・与党にあります。その責任を棚に上げて国民生活へのしわ寄せを逆手にとって、特例公債法案を押し付けることは許されません。
そもそも財政法では国債発行を原則禁止しており、政府は特例公債法案を毎年、制定して発行してきました。
しかも、今年度予算の一般会計約90兆円のうち42%にあたる約38兆円を赤字国債で賄う計画です。歳入の約半分を赤字国債に依存する財政運営はきわめて異常です。無駄な大型公共事業や軍事費を膨張させて借金を増やす一方、大企業優遇税制などで税収減を招いてきたからです。
今年度予算でも、次期戦闘機F35の買い入れと関連費用を含めて600億円を計上。米軍への「思いやり予算」は1867億円。原発推進の関連予算は4200億円にのぼります。こうした財政構造にメスを入れることが求められます。
さらに見逃せないのは、特例公債法案について自民、公明が、解散・総選挙を首相から引き出す「カード」に使っていることです。自公両党は「解散を約束すれば法案成立に協力する」などといって解散を迫る取引材料に使ってきました。
予算案には「バラマキだ」(自民党)などといって反対しておきながら、解散に応じれば成立に協力するというのは党利党略です。
しかも、政府・与党が解散・総選挙に応じないもとで今度は逆に解散に向けた環境整備を促進するとして、法案採決を欠席して成立を容認することまで検討しています。
こうした状況を踏まえて野田首相も「胸きんを開いて議論をすすめ解決策を」と自公に密室談合を呼び掛けています。消費税増税を民自公3党の密室談合で通したのと同じく、またもや密室談合で押し通すとすれば国民の批判は免れません。