「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年10月30日(火)

住民抗議で建設中止

中国石油化学工場 反対集会・デモ

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

地図

 【北京=小寺松雄】中国浙江省寧波(ねいは)市で、石油化学工場の建設に反対する住民の抗議行動が1週間にわたって続き、市政府は28日夜になって「建設計画を中止する」と発表しました。

 地元メディアなどによると、この工場は合成樹脂の原料となる毒性の強いパラキシレンを製造する計画でした。その内容を知った住民は、22日から建設予定地周辺で集会やデモを繰り広げました。

 27日には警官が催涙弾を発砲、住民に拘束者や負傷者が出ました。同日夜になって市指導部と住民代表が協議しましたが決着せず、28日には住民数千人が「市長退陣」を求めて警官ともみあい状態となりました。

 こうした経過を受けて、市政府は事業撤回の道を選択し、騒乱状態を回避しました。

 中国でのこの間の住民争議は、強制立ち退き問題とともに、環境汚染・破壊に起因する事例が多くなっています。その多くが住民の要求実現という形で決着していることが、共通した特徴となっています。

 今年7月、四川省什ほう(じゅうほう)市で、鉱物精錬工場の建設計画に対して青年を中心とする住民が鉱毒被害の危険を訴えたことで、市が計画撤回を表明。江蘇省南通市でも同月、日本資本の製紙工場からの排水が川や海洋を汚染させると住民が抗議、市政府が排水パイプライン計画の中止を決定しました。

 昨年8月には、遼寧省大連市の化学工場が有毒物質を排出する危険があると住民が抗議、市が工場の市外移転を決定しました。

 今回の寧波も含め、住民の生存と生命にかかわる課題についての要求と運動が、当局の産業政策を変更させています。同時に当局者の側にも、住民運動の抑制や弾圧を前面に出すのではなく、「住民との合意」を目指す機運が強まっている表れともいえます。

 寧波市の地元紙は28日、今回の教訓として、当局が「民意は政策決定の土壌」であることを学び、住民は「われわれには知恵と力がある」ことを学んだと指摘しています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって